2024年春卒業する大学生らを対象とした企業説明会。就職できずにフリーターという選択肢を選ばされる若者は、今ではほとんどいない(イメージ、時事通信フォト)

2024年春卒業する大学生らを対象とした企業説明会。就職できずにフリーターという選択肢を選ばされる若者は、今ではほとんどいない(イメージ、時事通信フォト)

 都心で一人暮らしかつフリーターの若者、という存在が減ったのではないかとはどういうことか。

「この店舗の近くとなるとワンルームでも最低7、8万はすると思う。昔はもっと安かった。それだけの家賃を出して今どき牛丼屋でアルバイトはしないだろう。できないことはないが、まずしないと思う。いまの若者はいくらでも仕事があるし、私たち世代のような無茶な夢の追い方はしない。正社員で兼業とか、正社員をしながら趣味の延長線上で夢を追うし、それができる。日本の働き方改革や少子化による厚遇からそれができる環境にもあるのかもしれない。そもそもいまの若い人は簡単に正社員になれる。50社100社全落ち、聞いたこともない会社すら落とされてフリーターのまま10年なんて時代とはまったく違う」

 そこで積極採用しているのが中高年やシニア層だという。

「40代後半から上はどの店舗も増えた。ただ続かない場合も多いし、これも言い方が難しいがその年齢でクルーになるといろいろ難しいことが多い。正社員である店長も同世代か年下であることが大半だ。ただシニア、とくに女性は使える人が多く積極的に採用したい」

 それでも「選べる立場にない」を繰り返していた。そして「本部は現実をわかっていない」とも。

人手不足は業界の自業自得

 それでも「コンビニや牛丼チェーンなどまだまし」と語るのは居酒屋チェーンの30代マネージャーだ。

「居酒屋はすでに人手不足で店舗の閉鎖が相次いでいる。これは業界の自業自得もあると思う」

 自業自得とはどういうことか。

「コロナ禍で一番バイトを削ったのは飲食店、とくに居酒屋だと思う。緊急事態宣言で時短や一時休業をしたが、居酒屋チェーンの多くは極端なシフト削減や一時解雇に走ってしまった。アルバイトやパートが戻って来ないどころか負担が増えて社員も一部が辞めてしまった。いまさら戻ってきてくれと連絡しても他の仕事が決まっている者が大半で、ただでさえ評判の悪い業界にさらに不安定なイメージがついてしまった」

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