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同時期に2つのドラマで母親役を演じる松嶋菜々子 “不敵な笑顔”に見る「コントロールの錯覚」

母親役が続く松嶋奈々子(時事通信フォト)

母親役が続く松嶋奈々子(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、2023年4月期における2つドラマで対照的な母親役を演じている松嶋菜々子(49才)が見せる「コントロールの錯覚」について。

 * * *
 4月から放映されている火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)で、巨大企業の御曹司で王様と呼ばれる新田東郷を演じている山田涼介さん(Hey! Say! JUMP、30才)の母親、新田静役を演じている松嶋菜々子さんの笑顔がどんどん怖くなっていく。優しい母親だと思っていたのに、次に何を企んでいるのかわからないという展開なのだ。

 ドラマの原作はわたなべ志穂さんによる同名漫画で、月刊漫画誌『プチコミック』(小学館)にて2014~2017年に連載されていた作品だ。主人公の絶世の美女、羽田綾華を演じるのは橋本環奈さん(24才)。そのヒロインに契約結婚を持ちかける通称「キング」を演じているのが山田さんだ。TBSの『王様に捧ぐ薬指』公式サイトによると、大家族を守るべく結婚を選んだ”ド貧乏シンデレラ”と、業績不振の結婚式場を立て直すため、好きでもない女との結婚を選んだ”ツンデレ御曹司”が繰り広げる胸キュンラブコメディで、愛は一切ナシの”メリット婚”から始まる超打算的シンデレラストーリー。

 松嶋さん演じる新田静は新田ホールディングスの会長夫人で、英語から茶道や華道、乗馬まで完璧にこなす才媛、良き妻良き母だ。息子である東郷を溺愛し、異常なほどに執着する一方、嫁となった綾華を優しく迎え入れ、妻としての作法などを丁寧に教えていく。颯爽と豪華な着物を着こなし、美しい微笑みをたたえながら、その裏ではどんな秘密を隠しているのかわからないという役。怖い顔より、美しい笑顔の方が不気味さは増す。

 松嶋さんといえば、NHKの大河ドラマ『どうする家康』で家康の母、於大の方を演じている。家康に乱世の厳しさを教え、天下人となるのを支えた大らかな母という役で、同じように微笑んでいるものの静役とは笑顔が明らかに違う。こちらは目の表情が穏やかで目元が優しく微笑みがふっくらと丸い。

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