メンツよりもコスパ「見栄を張りたくても張れない」
なんとも世知辛いご時世だが、そもそもヤクザが“オワコン”化している実態があるという。
「暴力団は銀行口座を持てず、暴力団との商取引はいかなる理由があっても暴排条例違反になってしまう。こうした現状で正業を営むのは困難で、フロント企業はヤクザの関与を表に出せず、隠します。暴力団員当人も建前上は無職なので、税金などは支払っていない。
無収入で高級車を購入し、高額の維持費を払っていると辻褄が合わないので、200万円程度の国産車に乗るよう指示を出している組織もあります。なにより暴力団に対する締め付けが厳しくなって、昔のようには稼げなくなっている。見栄を張りたくても、末端組員たちはその金がないんです」(同)
鈴木氏は、「ヤクザがいい格好をして、いい車に乗って、いい女を連れて歩くのは、虚栄心を満足させるためだけではなく、実利的な理由もあった」と話す。
「ヤクザに仕事を頼んでくる堅気は、ヤクザの羽振りの良さを判断基準のひとつにします。しかし今はヤクザが出張ってくれば、理由の如何を問わず逮捕され、交流をすると暴排条例違反になるため、金主やスポンサーがどんどん減っています」(同)
昔は暴力団と言えば“見栄を張ってナンボ”だった。さすがの暴力団も、時代の流れには抗えないようだ。
取材・文/白紙緑