60代の前立腺がん「5年生存率」

60代の前立腺がん「5年生存率」

腰に幾重にも手術痕が…

 日常生活に影響を来たすために手術を決断する人が多いのが、腰やひざといった関節の疾患だ。

 だが、手術をしたことで後悔するケースもある。特に「ひざ」の手術に注意が必要だというのが、整形外科医の戸田佳孝氏(戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)だ。

「変形性膝関節症で『人工関節の手術をしなければ将来寝たきりになる』などと主治医に言われたら疑ってください。できればセカンドオピニオンを聞きにいきましょう。実は人工関節についてエビデンスの高い診断基準はなく、医師の裁量・考え方次第だからです」

 手術自体は成功することが多いが、問題は「その後」だという。

「人工関節は身体にとって異物である以上、雑菌が付着した場合は炎症や化膿を起こすので入れ替えが必要になります。術後に痛みが残らなかったとしても、感染症リスクがある」(戸田医師)

 多くの人が悩む「脊柱管狭窄症」など腰痛の手術にもリスクが潜む。

「腰の手術では、圧迫された神経や血管を骨の切開術で開放する椎弓(ついきゅう)切除術を行なうことが多いです。しかし、椎弓切除を受けた患者と受けなかった患者の8年後の症状改善度を比べた米国の整形外科医ジョン・ルリー医師の研究では、両者に差は見られませんでした。さらに、手術を受けた患者の18%は8年以内に再発し再手術を受けたと報告されています」(同前)

 このように腰の手術は改善が見られず、再発のために「手術を繰り返す」ケースが問題になる。

「MRIによる精密検査の発展により画像診断が可能になりましたが、画像で見えている箇所が本当に痛みとリンクするかの解析はまだ不透明で、慢性痛では脳の前頭葉の萎縮が激痛につながっている可能性もある。手術をしてもよくならず、医師に勧められるがまま手術を何度も受け、手術痕が幾重にもついた患者さんがいるのも事実」(同前)

 高齢の患者では、手術でつけたフックが骨粗鬆症により外れて術前よりも変形したケースや、腰椎の固定手術をしたことで上部の変形が進み、背骨全体が曲がったケースもあるという。手術は影響が大きいだけに、慎重に判断したい。

※週刊ポスト2023年6月23日号

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