オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を描いたドラマ『だが、情熱はある』

若林正恭と山里亮太のユニットたりないふたりに影響を受けたヒップホップユニットを演じるのはお笑いコンビのかが屋

森本慎太郎と高橋海人、俳優としての資質

 若林は自分の20代を「1日たりとも思い出したくない」と語っているように、『だが、情熱はある』で中心に描かれるのは、彼にとって暗黒時代だ。また山里も同期や相方らへの嫉妬に苛まれ、人間性を疑うような言動を繰り返す。そのまま描けば目を背けたくなるほど重苦しいものになってしまいかねない。しかし、切実さは強く感じるが、見ていて不思議と暗い気持ちになりすぎることはない。そこにはどのような工夫がされているのだろうか。

「そこはキャスティングだと思っていました。芸人さんの話は下積み時代は見やすい話にならないし、売れてからも厳しい話が多い。どちらにせよエグい話になるから、それを解消するのって結局演者しかない。

 山ちゃん側で言うと、森本慎太郎くんってホントに陽の人で、どこかユーモアを感じさせる人だから、これから本当に稀代のコメディ俳優になっていくと思うんです。だから、どんなにヒドい言動をしても、人間の中にある弱さだったり、悲哀を笑いに変えてくれる資質があると思ったんです。

(高橋)海人くんは若林さんと一緒でどこか根が陰な部分があるんで、重くて泣ける芝居をしてくれる。ただそれだけだと暗くなってしまうので、海人くんを囲む人たちを、(春日役の)戸塚純貴くんであったり、(父親役の)光石研さん、(祖母役の)白石加代子さんのようなどちらかというと陽の人をキャスティングして中和させようと思ったんです。結果、すごく噛み合っていいバランスになっているんじゃないかと思います」

完コピ「漫才シーン」がつくられるまで

 驚くのは漫才シーンだ。下積み時代、観客の反応が芳しくない漫才はともかく、『M-1グランプリ』で結果を残す漫才まで森本、高橋たちは完璧に演じた。しかも、それがちゃんと笑えるのだ。それはなかなかできることではない。漫才に監修などは入れたのだろうか。

「監修はつけてないです。というか、元々僕は2人にクランクインまで『漫才はやらないから安心してね』って言ってたんです。漫才をやらせるつもりはなかった。なぜならば、無理だから。絶対につまらなくて引いてしまう。『M-1』のシーンとかも、会場に向かうシーンだけで漫才は飛ばそうって思ってたんです。

 だけど、彼らの芝居を見ていたら、やらせたくなっちゃったんですよね。これはやらないともったいないぞって。彼ら自身もやりたくなっていました。だって、海人くんと戸塚くんは勝手に自分たちでナイスミドル時代の漫才をやってるんですよ(笑)。ト書きには『「ナイスミドルでーす」などと漫才をする』くらいしか書かれてない。だからやってる感じだけ撮れれば良かったんですけど、2人はYouTubeでナイスミドル時代の漫才を自分たちで探してきて、それをコピーしてやりだしたんです。この人たちは本当にスゴいなと思って、じゃあ、やるしかないと。南海キャンディーズの2人も同じです。自分たちでネタを探して練習して。素晴らしかったですね」

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