朝ドラ一覧

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『ちむどんどん』で注目度上昇中の前田公輝(公式HPより)
『ちむどんどん』の前田公輝、“赤穂浪士アイドル”から不良高校生まで演じる注目株
 黒島結菜主演で話題を集めるNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』。にわかに注目が集まっているのが、ヒロイン比嘉暢子の幼なじみ・砂川智を演じている前田公輝(まえだ・ごうき、31才)だ。コラムニストのペリー荻野さんが、朝ドラだけではなく前田のこれまでに出演作を振り返りながらその魅力に迫る。 * * * 朝ドラ『ちむどんどん』では、ヒロイン暢子(黒島結菜)は智(前田公輝)から将来を考えたいと言われ、東洋新聞の和彦(宮沢氷魚)と愛(飯豊まりえ)は親公認の仲として結婚話が進展、やんばるでは暢子の姉・良子(川口春奈)が別居中の夫・石川(山田裕貴)のことを気にし、妹の歌子(上白石萌歌)は智のことが好き…と、すっかり「男女七人朝物語」といった形になっている。(ニーニー賢秀はあっさり失恋してしまいましたね…) その中で、多くの人が「応援したい」と思うのは、智ではないか。やんばる時代は、家業の豆腐店でしっかり働きながら、食いしん坊の暢子のために、うまい豆腐をわけていた智。食品卸の仕事を学び、起業する志を持って上京、暢子の務める銀座のレストランにも配達などし、ついに夢をかなえて独立を決意。スーツ姿で暢子とデートし、胸の内を打ち明けたのだ。 まじめで努力家。人柄もよく、独立直後、高熱で倒れたときは、暢子は勤めを休んで看病し、配達などは沖縄県人会の面々が助けてくれた。なのに暢子の心には、和彦が…。 このドラマで前田公輝の好感度はどんどん上がっているのは間違いない。しかも、前田公輝には演技者としての引き出しがまだまだたくさんあるのである。 私が前田公輝に注目したのは、10年以上前。知る人ぞ知る人気番組『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~』だった。「史実からはみ出してはいけない」という厳しい縛りの中で、新進の若手俳優たちが、パロディ連発で笑わせたこの番組。人気コーナー「ミュージックトゥナイト」では、竹中半兵衛と黒田官兵衛の「兵衛’z」やPerfume風の浅井三姉妹などが自らの人生をポップに熱唱した。 前田公輝は「AKR四十七」の一員だった。歴史好きならば、AKRが「赤穂浪士」の略だとピンと来るはず。有名な「忠臣蔵」の物語で、殿様の仇討ちを果たした四十七士が、なぜかキラキラ高校生制服のような衣装を着た「超大型アイドルユニット」として登場。 司会者に「自己紹介を」と言われると、実在の志士・大高源吾(前田)は、くるくるヘアを揺らしながら、「源吾のゲンは元気のゲン!!源吾のゴは、ごはんのゴ!!」と元気よく発言。その横で「くらら」こと大石内蔵助(村井良大)や「やすす」こと堀部安兵衛(間宮祥太朗)ら仲間がにこにこしている。もちろん、持ち歌「討ちたいんだ」もアイドルポーズ&ダンスがたっぷり。前田公輝、ノリがいいのである。 かと思えば、不良高校生たちが壮絶なバトルを繰り広げる『HIGH&LOW』シリーズでは、黒髪に学ラン、白靴下にメガネのインテリ風貌ながら、すさまじいキックで敵を蹴散らす人気キャラ、轟洋介に。このシリーズでは、番長役の山田裕貴とも激突。当然ながら、前田・山田ともに朝ドラに出ている人物と同一とは思えない戦いぶりを見せている。さらに前田は五年前から続く人情ドラマ『赤ひげ』では、小石川養生所のワンマン医長・赤ひげ(船越英一郎)の下で働く若手医師津川に。人を救いたいという気持ちがあるのに素直に出せない、クセのある男だ。 9月には『HIGH&LOW』の新作映画公開、秋には『赤ひげ』新シリーズがスタート。「ちむどん」の結末も含め、今年後半は、いろんな前田公輝を目撃することができるのである。
2022.07.06 07:00
NEWSポストセブン
NHKドラマ、リアルよりファンタジーが主流に?“死者復活”のテーマも登場
NHKドラマ、リアルよりファンタジーが主流に?“死者復活”のテーマも登場
 6月から新しいクールのドラマが始まり、新作ドラマに視聴者への期待が高まっている。そんななか、にわかに注目を集めているのがNHKのドラマだ。朝ドラや大河ドラマ以外で、現実では起こらない設定のファンタジー作品が増えているのだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその理由を解説する。 * * * 1週間前の6月25日、ドラマ『空白を満たしなさい』(NHK)がスタートし、7月2日に第2話が放送されます。同作は「3年前に死んだはずの男性がある日復活し、死の理由を自ら追求していく」というファンタジー。 NHKのドラマと言えば、6月4日に『17歳の帝国』、7日に『正直不動産』、30日に『カナカナ』が終了したばかりです。『17歳の帝国』は、AIに選ばれた少年がある都市の総理大臣になる。『正直不動産』は、不動産の営業マンが嘘のつけない体質になってしまう。『カナカナ』は、心の声が聞こえる少女の物語。『17歳の帝国』はSFの要素こそ濃いものの、広義ではこれらはすべてファンタジー作品と言っていいでしょう。 各作品の放送枠に注目すると、『空白を満たしなさい』と『17歳の帝国』は土曜22時台の“土曜ドラマ”、『正直不動産』が火曜22時台の“ドラマ10”、『カナカナ』は月~木曜22時45分からの“夜ドラ”。今年1~3月に“ドラマ10”で放送された『しもべえ』も含め、NHKは朝ドラと大河ドラマ以外のドラマ枠で、思い切ったファンタジー作品を次々に放送してきたことがわかるのではないでしょうか。 もともと公共放送のNHKはドキュメンタリータッチの脚本・演出で、民放各局よりもリアリティを重視した作品が多くを占めていました。現在それとは真逆のファンタジー作品を連発しているのはなぜなのでしょうか。民放のファンタジーは3つに集約 まず指摘しておきたいのは、民放各局で放送されているファンタジー作品の大半が「タイムスリップ」「入れ替わり」「生まれ変わり(憑依)」の3つに集約されていること。「タイムスリップ」は『知ってるワイフ』(フジテレビ系)、『テセウスの船』(TBS系)、『流星ワゴン』(TBS系)など、「入れ替わり」は『天国と地獄~サイコな2人』(TBS系)、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)、『民王』(テレビ朝日系)など、「生まれ変わり(憑依)」は『妻、小学生になる』(TBS系)、『パパがも一度恋をした』(東海テレビ・フジテレビ系)などが放送されてきました。 この3つが繰り返し選ばれている最大の理由は単純明快さ。「年齢性別を問わず誰が見てもわかりやすい」「『もしも……』と想像をふくらませられる」ため、視聴率や配信数を得なければいけない民放各局は、この3つを優先的に選んでいるのです。 一方、冒頭に挙げたNHKのファンタジー作品は、もう一歩踏み込んだ設定とストーリーばかり。視聴率や配信数、スポンサーなどのしがらみが少ないNHKだからこそのチャレンジであり、民放各局と差別化できているため、いずれの作品も一定以上の支持を集めています。『17歳の帝国』を手がけた制作統括の訓覇圭さんは、「今年度から『NHKワールドJAPAN』を通じて、土曜ドラマ枠がおよそ世界160の国と地域でもご覧いただけることになり、その第一弾になります。NHKのドラマも常時海外へと発信される時がきました。現場の制作者にとっては、とてもとてもありがたい話です。こういった潮目が変わるときにいつも思うことは、『新しいモノを創りたい』ということです。極端に言えば、『目新しいだけ』と揶揄されてもいい、それほど個人的には『新しさ』に魅力を感じてしまいます」とコメントしていました。 NHKはもちろん民放各局でも見たことのない新しさを求めて作られた作品なのでしょう。その姿勢は素晴らしいものではあることは間違いないものの、やはり果敢な挑戦がしやすいNHKという環境あっての戦略とも言えます。ファンタジーでも作品テーマは深い NHKのドラマは、朝ドラと大河ドラマで中高年層がメインの視聴者層を確保できているため、その他のドラマ枠では10~30代に向けた作品を手がけているようです。 実際、『17歳の帝国』の主演に23歳の神尾楓珠さん、ヒロインに21歳の山田杏奈さん、『カナカナ』の主演に22歳の眞栄田郷敦さん、ヒロインに23歳の白石聖さん、『正直不動産』のヒロインに23歳の福原遥さんら20代前半の俳優をキャスティングしていることからも、若年層がターゲットの戦略がうかがえます。 とはいえ、これらのファンタジー作品が描こうとしているテーマは、年齢不問の深さがあるものばかり。『空白を満たしなさい』は生死や幸せに生きることの意味、『正直不動産』は「千の言葉のうち真実は三つしかない」と言われるほど嘘の多い不動産業界の現状、『カナカナ』は元ヤンキー青年と幼い少女の成長と絆、『17歳の帝国』は政治や家族の問題を掘り下げるなど、大人の世代にとっても見どころ十分の物語に仕上げています。 最終話の翌週に異例の『感謝祭』を放送した『正直不動産』を筆頭に、NHKのファンタジー作品が一定の支持を得ているだけに、今後は民放各局も「タイムスリップ」「入れ替わり」「生まれ変わり(憑依)」ばかりを放送しているわけにはいかなくなっていくでしょう。「視聴率や配信数を得られるか」というマーケティングベースではなく、思い切ったファンタジー作品が求められそうです。NHKは、もう1つの柱であるジェンダーやセクシュアルがテーマの作品とともに、今後もファンタジーを手がけていくのではないでしょうか。このまま作品数を増やし、視聴者の支持を獲得していけば「ファンタジー作品ならNHK」というブランディングにつながりますし、そうなれば「朝ドラと大河以外のドラマはなかなか見てもらえない」という課題を解消しているでしょう。【木村隆志】コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
2022.07.02 07:00
NEWSポストセブン
『ちむどんどん』で話題の本田博太郎(公式HPより)
『ちむどんどん』で存在感出す本田博太郎、北京原人役など異色の経歴を振り返る
 NHK連続ドラマ『ちむどんどん』では、多くのキャラが人気を呼んでいるが、そのうちの1人が演劇評論家の淀川春夫を演じるベテラン俳優の本田博太郎(71才)だ。本田はこれまでも多くの話題作に出演してきた。どんな役柄を演じてきたのか? 本人に取材したこともあるコラムニストのペリー荻野さんが解説する。 * * * 今、ドラマでもっとも出演シーンを待望されている俳優といえば、本田博太郎である。 先日、シリーズ完結した『警視庁・捜査一課長』では、大岩純一捜査一課長(内藤剛志)の上司・笹川刑事部長役。「捜査が難航しているようだな、大岩純一捜査一課長」とフルネームで大岩を呼んで鼓舞する笹川のシーンは、ドラマの名物のひとつだった。 笹川の姿は実に奇抜。バッティングセンターではなぜか審判姿で「ストライク!」と叫び、船の上では紅白の手旗信号で「何も言うな」とメッセージ。ターバン巻いてカレーをふるまったり、〇と×のクイズパネルを突き破って現れ、大岩らにクイズを出題。他にも宇宙服、ナポレオン、レンジャー、カヤック、突然、公園の池からずぶ濡れでできたり、ロッカーからバーンと出てきて、捜査員をびっくりさせたこともある。 ドラマの中で、こうした演出に使うレンタルハットや船の手配などを「さりげなーく雑費が嵩み、経理に認められれば」と思ったが、NGだったと笹川本人が告白するシーンまであったのには笑った。事件そっちのけで「本田博太郎待ち」を楽しんでいた人も多かったはずだ。そして、朝ドラ『ちむどんどん』でも、「博太郎待ち」は続く。 主人公の暢子(黒島結菜)が働くイタリア料理店の常連、演劇評論家の淀川春夫(本田)は、暢子に「この店の名前、アッラ・フォンターナ」の意味と由来は?」とあの独特の口調で尋ねる。まったく答えられない彼女に「よくそれで…」と呆れるが、その後、少し成長した暢子に「これからも頑張りたまえ」と声をかけるのである。料理がテーマのドラマでは、「誰が料理を評するか」は、物語の肝のひとつ。淀川先生は、ここぞと言うときに出てくる可能性が高い。楽しみだ。 今ではすっかり面白俳優のように思われているが、注目を集めるきっかけは1979年。蜷川幸雄演出の舞台『近松心中物語』。主役・平幹二朗が腰痛で降板し、翌日から、急遽主役の気弱な商人を演じきったのだ。1980年には、アイドル学園ドラマ『ただいま放課後』で先生役。翌年は『必殺仕舞人』で、悪人に近寄るために水や泥の中に潜り、ぬーっと顔を出すと白目と白い歯だけが浮き上がる、『ランボー』や『地獄の黙示録』もびっくりの強烈な殺し技を披露。 ご本人に聞いたところ、これらのシーンのほとんどは敬愛する工藤栄一監督と考案したという。監督の「ちょっと水に入ってくれるか」の一言で溺れそうになったり、極寒にふんどし一枚でガタガタ震える。その熱意は現場で愛され、『新必殺仕舞人』の最終回でいかだに乗ることになったとき、(ここでも水)そのシーンだけのためにスタッフが特製いかだを作り、琵琶湖までロケをしてくれたそうだ。笹川刑事部長が、池やカヤックで現れたりするのは、監督の「ちょっと水に」の体当たり精神に通じている。 異色の映画『北京原人 Who are you?』では、北京原人に。宮藤官九郎脚本の異色の昼ドラマ『我輩は主婦である』では斉藤由貴に乗り移った夏目漱石の声を担当。「主婦とは昼から無駄話をし、せんべいをかじるものか」などと愚痴を言う。北京原人から夏目漱石まで演じた俳優は、この人だけだろう。まだまだ、「本田博太郎待ち」の日々は続きそうだ。
2022.06.23 07:00
NEWSポストセブン
主演を務める吉高は「平安時代という未知な世界を日々想像して、鮮やかな大河ドラマになったらうれしい」と抱負を語った
女性主人公は14作!柴咲コウ、井上真央、綾瀬はるか…大河ドラマ女優を振り返る
 7年ぶりに女性が主役の大河ドラマが帰ってくる! 2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部に吉高由里子(33才)が決定した。1963年に始まったNHK大河ドラマの歴史の中で、女性を主人公にした作品はわずか14作。しかし、どれも印象深い作品ばかりだ。当時の写真とともにその歴史を振り返ろう。柴咲コウ(40才)『おんな城主 直虎』(2017年)無名だった主人公を魅力的に好演 女性が主役の大河で記憶に新しいのが、男の名で家督を継いだ井伊家の当主「直虎」。放送当時からツイッタートレンド大賞のドラマ部門で1位を獲得するなど、ファンの間で高い支持を集めた。井上真央(35才)『花燃ゆ』(2015年)“セクシー大河”の呼び声も高かった話題作 吉田松陰の妹・文の生涯が描かれた作品。井上は大河ドラマ初出演にして初主演。吉田松陰には伊勢谷友介、文の夫・久坂玄瑞は東出昌大、楫取素彦役を大沢たかおなど旬のイケメン俳優が勢ぞろい。綾瀬はるか(37才)『八重の桜』(2013年)「幕末のジャンヌ・ダルク」は復興にも尽力「女は女らしく」という周りからの期待に反し、動乱の時代に自ら銃を手に戦った新島八重をかっこよく熱演。舞台となった福島県会津市は“八重効果”で観光客数が伸び、東日本大震災の復興に一役買った作品に。綾瀬は現在も会津市と交流を続けている。上野樹里(36才)『江〜姫たちの戦国〜』(2011年)大河ドラマ50作目は“日本史上最も有名”な三姉妹の物語 浅井長政と織田信長の妹・市との間に生まれた浅井三姉妹と英雄たちの愛の物語。『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)のイメージが強いなか、本作の好演で女優としての地位を不動のものにした。宮崎あおい(36才)『篤姫』(2008年)知名度No.1! 篤姫ブームを巻き起こした人気作 大河ドラマ史上最年少の当時22才で主演に抜擢。時代に翻弄されながらも自らの運命を前向きにとらえて生きる、芯の強い女性像を見事に演じた。仲間由紀恵(42才)『功名が辻』(2006年)圧倒的な存在感で内助の功を演じ話題に 司馬遼太郎原作で、初代土佐藩主となった山内一豊の妻・千代役を当時26才の仲間が抜擢された。天性の明るさと優れた政治観を兼ね備えた内助の功を演じきった。松嶋菜々子(48才)『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(2002年)「私にお任せくださりませ」のせりふは流行語に! 朝ドラヒロインも経験している松嶋と唐沢寿明のダブル主演作。朝ドラクランクアップ時の記者会見で「今後の目標は大河ドラマに出ること」と答えたのが現実のものになった。三田佳子(80才)『花の乱』(1994年)大河ドラマ2作品の主役を経験 当時大河ドラマで初めて応仁の乱を取り上げたのが本作。希代の悪女と評された足利義政の妻・日野富子を熱演した。大原麗子さん(享年62)『春日局』(1989年)大河ドラマ歴代3位の高視聴率を記録 最高視聴率32.4%を記録した人気作。大原は「ギラン・バレー症候群」の病を克服した後の大河ドラマ出演で、母性愛にあふれたおふく(春日局)を演じきった。三田佳子『いのち』(1986年)ヘアスタイルにも注目された理想の女性像 橋田壽賀子さんのオリジナル脚本。終戦から40年間の日本の歩みを背景に、女医・岩田未希の姿をしなやかに演じ、理想的な女性として称された。松坂慶子(69才)『春の波涛』(1985年)日本初の女優“マダム貞奴”を華麗に魅せる 主人公は海外でも活躍した日本の女優第1号の川上貞奴。フランス・パリでもロケが行われるスケールの大きさや、和装から洋装への衣装変化など時代の流れが見て取れる作品とあって当時話題を呼んだ。佐久間良子(83才)『おんな太閤記』(1981年)女性視点で描いた戦国時代劇 豊臣秀吉(西田敏行)を支えた正室・ねねを佐久間が頼もしく演じ高視聴率を記録。秀吉がねねを呼ぶ「おかか」は、当時流行語にもなった。岩下志麻(81才)『草燃える』(1979年)“昭和の北条政子”といえばこの人! 波瀾万丈な生涯を送った北条政子役を務め、苛烈な役どころを演じきり視聴者に強烈な印象を与えた。当時、初めて大河ドラマの中で現代語が使用され反響を呼んだ。岡田茉莉子(89才)、藤村志保(83才)、栗原小巻(77才)『三姉妹』(1967年)大河ドラマ5作目で早くも女性が主役 幕末の動乱から明治維新までを舞台にした物語を、明治100年を迎えた年に放送。歴史上の英雄ではなく、無名の人物を主人公にした画期的なドラマとして関心の高い作品となった。撮影/女性セブン写真部※女性セブン2022年6月30日号
2022.06.19 16:00
女性セブン
幅広い世代に支持される上白石萌音(左)と萌歌(写真/共同通信社、時事通信フォト)
大河に朝ドラに…上白石萌音・萌歌姉妹がNHKに愛される理由
「こんな娘がうちにもほしい!」──テレビを観てそう思った人も少なくないだろう。最近、引っ張りだこの姉妹、上白石萌音(24)と萌歌(22)だ。今どきのスレた感じがない、真っ直ぐなキャラクターはどのように醸成されたのか。姉妹の知られざるファミリーヒストリーをお送りする。2011年に開催された「東宝シンデレラ」オーディションで、萌音は審査員特別賞を、萌歌はグランプリを獲得。萌歌が子役モデルとして活躍する一方で、萌音は2011年の大河ドラマ『江~姫たちの戦国』でドラマデビューし、2014年の映画『舞妓はレディ』では初主演を努めた──。【全4回の4回目。第1回から読む】 * * * 芸能界入りの際にグランプリを獲ったのは萌歌だったが、萌音が女優として注目を浴び、今度は姉の背中を追う立場に。アイドル評論家の中森明夫氏が語る。「2015年に萌音が『赤毛のアン』で主人公アン・シャーリーを演じると、翌年には萌歌が同じ役を務め、萌音が新海誠監督の大ヒットアニメ『君の名は。』でヒロインの声優を演じれば、すぐに萌歌が細田守監督の『未来のミライ』で主人公役を射止めるなど、姉妹で切磋琢磨していった」 そんな2人の初共演が実現したのが、2018年公開の映画『羊と鋼の森』。演じたのは、高校生ピアニストの姉妹役だった。 母親がピアノ教師だったが、萌音は小学1年で「ずっと座って指だけ動かしている」のが性に合わずに頓挫。萌歌に至っては、一度もピアノを習ったことがなかった。 それでも2人は猛特訓の末、吹き替えなしで見事な連弾を披露してみせた。中森氏が続ける。「『羊と鋼の森』で、萌歌は天才肌で明るい性格の妹、萌音は劣等感を抱く繊細な姉を演じましたが、それぞれの役がその後の女優としての方向性を決定づけたと思います。どちらもピュアさ、芯の強さが印象的ですが、萌音は陰の、萌歌は陽の強さを放っています」平成生まれの昭和顔 だが、すべてが順調だったわけではない。ターニングポイントとなった人気ドラマ『義母と娘のブルース』(2018年・TBS系)で、萌歌は大きな壁にぶつかっていたと同作の演出を担当した平川雄一朗氏は述懐する。「第6話で小学生から急に高校生に飛んで、彼女が登場するのですが、かなりのプレッシャーだったと思います。前半の視聴率が高く、キャストも錚々たる面々。チームの中に途中から入っていく緊張感もあったでしょう。 初日の撮影がなんとなくぎこちなかったので、撮影終わりに僕はプロデューサーさん、マネージャーさんと一緒に彼女の控室に行きました。彼女は『プレッシャーが大きくて、うまく自分のパフォーマンスができない』と悩んでいて、僕が『選ばれてるんだから、自信を持って』と言うと、涙を流していました。そこから吹っ切れたというか、演技が生まれ変わったように感じました」 萌音はドラマデビューとなった大河『江~姫たちの戦国』(2011年)に続き、『西郷どん』(2018年)に出演。2021年には朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のヒロインを射止めた。萌歌も2019年の『いだてん』で大河出演を果たし、今年は朝ドラ『ちむどんどん』で重要な役回りに。姉妹揃って“NHKに愛されている”印象がある。「2人はNHKのヒロインの条件である、平成生まれの昭和顔。そして演技を通じて人を魅了する力の根本となる、人間力を持っている。きっとご両親が学校の先生で、家には歴史の本や音楽があふれていて、自然に文化的なものが培われてきたのでしょうね」(中森氏)『舞妓はレディ』の周防正行監督は彼女たちの今後にこう期待を寄せる。「この先“演じることって何だろう”という壁にぶち当たることもあるでしょう。だけど悩むのは当たり前のことだから、恐れないでほしい。あまり思い詰めずに“これは私の成長の時なんだ”と、壁にぶつかることを楽しんでほしいですね」 日本を代表する姉妹女優は、まだ24歳と22歳。今後も目が離せない。(了。第1回から読む)※週刊ポスト2022年6月10・17日号
2022.06.02 07:00
週刊ポスト
川栄李奈
川栄李奈が演じるパロディ源義経 NHKだからできる衣装や小ネタ満載
 NHKの時代劇と言っても放送はたったの5分間。設定は、源義経がスマホを持っていたら――という突飛なもの。今回、『義経のスマホ』で源義経を演じているのは女優・川栄李奈(27才)だ。話題を呼ぶこのドラマの見どころについて、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。 * * * 何かと話題の『義経のスマホ』。 もしも、義経がスマホを持っていたら?というところから始まる深夜の5分間番組で、映し出されるのは、スマホの画面という異色すぎるSF時代劇だ。 義経といえば、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、菅田将暉が元気よく平家を討ち倒し、平泉で散ったばかり。菅田義経は、出来のいい弟・義円を陥れたりして、過去の多くの作品で描かれた”“悲劇の美形若武者”とは一味違うと感心していたが、『義経のスマホ』の義経は、それどころじゃなかった。 スマホ中毒の義経は、ネットニュースで頼朝挙兵を知り、弁慶(小澤征悦)らと奥州を出発し、頼朝と合流。頼朝(塚本高史)から「お前だけが頼りだ」のスタンプに奮い立ち、一の谷の奇襲へと打って出る。承認欲求はどんどん上昇。「天才の戦略」「鵯越ミラクル逆落とし」など絶賛ツイートにご満悦だ。 とはいえ、頼朝に「これから力を合わせ、源氏の世を作りましょう」なんて言葉も全部、弁慶が送った文面読んでただけだよ、おいおい。義経のアイコンが、しばしば「あまりに不細工で気の毒」「本当に美形だったのか」といわれる肖像画(歴史資料に載ってるアレです)を、ちょっとカッコよくしているところは笑えるが、とにかくこんな危なっかしい義経、見たことない。 びっくりの連続。義経を演じるのが、川栄李奈というのもまた、びっくりだ。5月30日から始まった後半では、いよいよ頼朝に追い詰められる。そのきっかけもひょっとしてスマホ!? タイトルも第五話「わかりやすく調子づく男」、第六話「」第七話「肝心なことを見落とす男」って、悲劇の若武者はどっかに行っちゃいましたね…。 歴史偉人がスマホを持ったらというこのシリーズは、『光秀のスマホ』、『土方のスマホ』に続く第三弾だが、観るたびに思うのは、このシリーズはNHKの持てる技が詰め込まれた番組ということだ。 たとえば、衣装やセット。NHKには、過去60年近い大河ドラマの衣装や大道具、小道具の蓄積がある。かつて私は渋谷のNHKの倉庫を取材させてもらったが、様式が時代ごとに違う襖や屏風などが、見事に保存されていて感動した。『義経のスマホ』で西田敏行によく似ていた後白河法皇(松村邦洋)の衣装は、『鎌倉殿』で法皇を演じた西田のものとよく似ていたし。膨大にして充実したストック、資料あってのパロディといえる。 また、音楽もなかなか。義経にかかってきた弁慶の電話の着信音は、故・中村吉右衛門さんが1986年にNHK大型時代劇で演じた『武蔵坊弁慶』のテーマ曲だった。通向けの小ネタだが、こういうことができるのもNHKの底力だ。 そして、人脈面でも無敵。川栄李奈は朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で主役を務めたばかりだし、小澤は2005年の大河『義経』では木曽義仲役だったほか、NHKでは主演作『ちいさこべ』もある。塚本高史も2012年の大河『平清盛』で安達盛長、2014年『軍師官兵衛』では後藤又兵衛を演じている。 光秀、土方、義経とミニミニ裏大河のような形になってきたスマホシリーズ。来年は誰が…と早くも期待したくなってきた。
2022.06.01 16:00
NEWSポストセブン
King&Princeメンバーが語ってくれた
木村拓哉、最新ドラマで初めて見せる「人生を投げて疲れ切った姿」に要注目
 現在放送中のドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)では、いままでとは異なる役を演じている木村拓哉(49才)。コラムニストで放送作家の山田美保子さんが、カッコいいだけじゃない木村拓哉について綴ります。 * * * 木村拓哉サン主演のドラマ視聴率は、NHKの「朝ドラ」(連続テレビ小説)や「大河」、「紅白」、そしてフジテレビの「月9」などと並んで、その高低がメディアで大きく取り上げられます。 無意味とまでは言いませんが、たとえば「紅白」の視聴率の推移は、大晦日、家族全員が揃って一台のテレビにかじりついていた「昭和」のそれと比較されている。そりゃあ、50%以上だったのは当たり前の話であり、その後、平成を経て令和となり、テレビの見方や、テレビそのものが家にない、当然、見ることもない若いかたが増えているというのに、です。 朝ドラの時間帯だって専業主婦が大半だった「昭和」と現代では比較にならないし、ゴールデンタイム、プライムタイムのライフスタイルも大きく異なっているいま、対比して、「視聴率が下がった」と大騒ぎするのはナンセンス極まりないことだと思うのですが。 ドラマについて、私は20年以上前から「ココロの視聴率」という言葉を用いて、「自分の琴線に触れる作品を黙って見ればいいじゃないか」と主張し続けています。ですが、自分が見ているドラマはほかの人たちにも見ていてほしい……という想いをもつかたがとても多い。なかでも“推し”が主演をしているドラマとなれば、その想いはさらに強まるようです。 そうしたファンの皆さんのプッシュに加え、多くの社会現象を生んできた木村拓哉サン主演のドラマ。ピアニスト(フジテレビ系『ロングバケーション』)、美容師(TBS系『ビューティフルライフ』)、パイロット(TBS系『GOOD LUCK!!』)、検事(フジテレビ系『HERO』)など、木村サンの美しい手指がアップになる職種が多く、木村サンがカッコよく演じれば、目指す若者が採用試験に殺到したものでした。 特に美容師ブームのことはリアルに“経験”しています。私が特別講師を務める『早稲田美容専門学校』は、カリスマ美容師ブームと『ビューティフルライフ』のお陰で、男子学生がとても多いのです。超人気サロン『OCEAN TOKYO』代表の高木琢也くんは代表的な卒業生。そして今春卒業した22期生の国家試験合格率は初めて100%となり、業界で話題になりました。感慨深いです……。こんなに人生を投げている、こんなに疲れ切っている木村サンは初めて さて、そんな木村拓哉サンが現在主演中のドラマといえば『未来への10カウント』(テレビ朝日系)。映画化もされた『HERO』の福田靖さんが脚本を務め、お二人が事前に綿密なミーティングを重ねた結果、「月のような存在でありたい」との木村サンの希望が本作には生かされていると聞きました。これまでの作品は間違いなく「太陽」でしたよね? でも今回は「月」なのです。 しかも、木村サン演じる桐沢祥吾は、生きる気力をなくしたアラフィフ男。どれだけの不幸が彼を襲っていたかは、第3話、袴田吉彦サン(48才)が演じる不幸自慢男とのリング上での“対戦”シーンで明らかにされました。 桐沢は高校時代、4冠を達成し、将来を嘱望されたアマチュアボクサーだったのに網膜剥離で継続を断念。最愛の妻(波瑠サン・30才)は結婚後すぐに乳がんを患い死去。その妻とよく通っていた焼鳥屋を継ぎ、順調に回り始めたと思ったら新型コロナの影響で閉店……。就職氷河期で苦労し、会社でもなかなかうまくいかないという袴田サンの役には当然KO勝ちです。 その後もピザのデリバリーをしながら食いつなぎ、引退した恩師に母校のボクシング部のコーチを押し付けられ、渋々就任するも、なかなか本腰を入れられないという、ファンにとっては「ちょ、待てよ」と言いたくなるような経歴と内容です。 パッと見は、学園ドラマとかスポ根ドラマなので、大人が見る作品ではないと敬遠されていたかたも少なくないと思うのですが、それで見ないのはもったいなさすぎ。こんなに人生を投げている木村拓哉、こんなに疲れ切っている木村拓哉が描かれることは初めてだからです。 実は『アイムホーム』からタッグを組んできたテレビ朝日のドラマ班は、これまで2シリーズをオンエアしてきた『BG~身辺警護人~』を含め、カッコイイだけではない木村拓哉を描き続けてきました。『アイムホーム』で初めてテレ朝の連続ドラマに主演することになった木村サンは当初、「おしゃれなカフェとかがたくさんある」六本木ヒルズに位置する同局での撮影の休憩時間をとても楽しみにされていて(笑い)、「行っちゃおっかな」などと、おどけていらしたのです。が、“お楽しみ”はそれだけではありませんでした。『アイムホーム』の妻子を顧みなかった父親像、『BG~』ではバツイチのシングルファーザーで、なんと元妻役が“ロンバケ”の山口智子サン(57才)! でも、それ以外の共演者は「初めまして」のかたが多くキャスティングされ、主人公のオンだけではなく、オフにも光を当て、「これまで見たことのない木村拓哉」を描いてきたのです。これは木村サンにとって、とても新鮮な経験だったと思われます。一味ちがうPR方法に定評がある宣伝部との相性も抜群です。そして、これまでの“現場”でも大評判だった木村サンの“座長力”には、さらに磨きがかかっているようです。 今回、本格共演が初となるヒロインでボクシング部顧問役の満島ひかりサン(36才)と、30年ぶりの共演の校長役、内田有紀サン(46才)は木村サンのことを「癒し系」と口を揃え、満島サンは「モフモフモフ~」と表現なさいました。 さらに満島サンの妹役の滝沢カレンさん(30才)は木村サンから「この姉妹、ありだよね」と言われたことを喜んでいらっしゃいました。そして満島サンの息子役で、天才子役の呼び声が高い川原瑛都クン(8才)に対して、木村サンは「お師匠さん」と呼んでいるそうです(笑い)。それぐらい、しっかりしているということですね。それこそコロナ禍なので、これまで何度話題になったかわからない豪華な差し入れなどを用意しづらい現場だと思われますが、その分、現場の雰囲気をよくすることに努めていらっしゃるのでしょう。 ボクシング部員のKing & Prince・高橋海人クン(23才)や山田杏奈チャン(21才)が、昨年秋からトレーニングをしていたことをリスペクトの気持ちで、番宣の場面で紹介することも忘れません。でも、ご自身は、わずか3回練習しただけで、あの所作ができているといいますから、さすがは木村拓哉サンです。 主演俳優として、座長さんとして、これまでとは異なる“木村拓哉”に自ら望んで挑んでいる木村拓哉サン。「桐沢祥吾」が、どうやって昔の自分を取り戻していくのかを見届ける大人のドラマです。いまからの視聴でも、きっと間に合うと思います。構成/山田美保子『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ?テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。※女性セブン2022年6月9日号
2022.06.01 11:00
女性セブン
松本若菜
“松本劇場”で話題の松本若菜ら今注目の遅咲きアラフォー女優3人の魅力に迫る
 主演作こそ少ないが、ドラマや映画などで今、業界の注目を集めているアラフォー女優たちがいる。松本若菜(38才)、中村ゆり(40才)、幸田尚子(42才)の3人だ。コラムニストで放送作家の山田美保子さんがその魅力を解説する。 * * * 土屋太鳳主演の『やんごとなき一族』(フジテレビ系)で異彩を放つ松本若菜が話題だ。松本演じる「美保子」が、土屋演じる「佐都」をいびり倒す際の顔芸ともいうべきオーバーな表情と演技、替え歌などは、「#松本劇場」としてTwitter民の間で盛り上がっている。 そのクセツヨぶりとフューチャーのされ方は『牡丹と薔薇』(東海テレビ・フジテレビ系、2004年)の小沢真珠さながらだ。が、その前に彼女がネットで取沙汰された1月期の『ミステリと言う勿れ』(同)では強さと美しさを併せ持つ全く異なるキャラクターだった。第11話と最終話のみの登場ながら、「あの美人刑事は誰?」と騒がれた松本。小柄でファニーフェイスの伊藤沙莉と並ぶと、松本の美貌がさらに際立つとの声も多かった。 高校一年生のとき、地元・米子で女優の奈美悦子と彼女が所属する「オフィス・ウォーカー」の社長にスカウトされるも断ったというエピソードをもつ松本。その後、22歳で上京し、初オーディションで合格し、『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で女優デビューする。 これまで本当に多くの作品で見かけたし、2017年には「第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞」を映画『愚行録』の演技で受賞している。そして今年1月期と4月期、180度異なる役ながらブレイクを果たした松本は7月8日からスタートする『復讐の未亡人』(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演を果たす。原作は『めちゃコミック』でランキング1位を果たし、『金魚妻』でも知られる黒澤R氏の作品。話題にならないハズがないだろう。朝ドラ、連ドラ、CMで存在感を発揮する中村ゆり その“テレ東”にて37歳で民放の連続ドラマ初出演を務めた女優といえば中村ゆり。2020年1月期の『今夜はコの字で』である。翌1月期の『天国と地獄~サイコな2人~』(TBS系)でベンチャー企業の社長を演じた高橋一生の秘書であり良き理解者を演じた際には、高視聴率作品ゆえ、「YURIMARIだ!」とアイドル時代の彼女の活動を思い出した視聴者も多かった。 同7月期には、Kis-My-Ft2北山宏光と夫婦役を演じた話題作『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)、10月期には江口のりこ主演の『SUPER RICH』(フジテレビ系)でも難役を好演した。 そうかと思えば、2011年以降の“朝ドラ”(NHK連続テレビ小説)では『おひさま』『梅ちゃん先生』『花子とアン』『わろてんか』『エール』の5作に出演。さらには草なぎ剛と共演した『メルカリ』や、『小野薬品ヘルスケア』の「睡眠バランスが乱れがちなあなたに」「睡眠の質を向上させます」と睡眠サプリ「REMWELL(レムウェル)を訴求するテレビCMでも存在感を発揮している。 先日、エンタメ界では知らない人がいない辣腕の女性プロデューサーと話していたら、「私、中村ゆりさん大好き」と絶賛していた。松本若菜同様、誰もが認める爽やか美人。同性人気が高いという共通点もあるようで、この二人の元にはまだまだ仕事のオファーが舞い込む予感がする。CMで“顔芸”が注目の幸田尚子はM-1出場歴も テレビCMでよく見かけると言えば、幸田尚子も忘れるわけにはいかない。松本や中村に比べると、まだ顔と名前が一致している人は少ないかもしれない。だが、『スヴェンソン』『BASE』『バイク王』のCMなどでロングヘアをなびかせ、共演者に声と顔芸で派手なリアクションをしたり、激しいツッコミを入れたりしているのが彼女だ。 最新の『セブン-イレブン』のCM「THEカップデリレストラン」では、洒落たレストランで男性スタッフから「当店オススメの“たことブロッコリーバジルサラダ”です」「次に、半熟卵と食べる“チャーシューのピリ辛ユッケ仕立て”です」「そして“コールスローサラダ”でございます」とサーヴィスされた幸田がラスト、「って、これ、まさか『セブン-イレブン』の“カップデリシリーズ”なんじゃ」とツッコむ、いつもの(!)パターン。 見れば、「あぁ、あの女性」「確かによく出ている」と思っていただけたのではないか。『無名塾』『劇団青年座』『劇団クロムモリブデン』を経て、現在は個人で運営していると思われるオフィシャルサイトにてオファーを受け付けている。 このサイトは一見の価値がある。というのも、前述の“顔芸”&“ツッコミ”CMとは異なる“イイ女”風の動画が段積みで出てくるからだ。どこかに“笑い”や“オチ”が潜んでいるのではないかと疑いながらスクロールしたのだが、最後までマジだった。それで思ったのは、幸田も松本、中村同様、“超”がつくアラフォー美女だということなのである。「小劇場の美しい女優さん」というシリーズで雑誌に掲載された過去もある。“小劇場”“印象的なCM”“美人”というキーワードで思い出すのは吉田羊だ。吉田が中井貴一や三谷幸喜氏との出会いがきっかけとなって映像の世界で大メジャーになったように、幸田尚子にもシンデレラストーリーを期待してしまう。 一方、バラエティ専門放送作家としては、彼女が女優の中丸シオンと「幸丸事件」なるコンビを結成し、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』に出ていたことや、もっと前には「オフィス北野・なべやかん主催」「神保町花月」なる記述がWikipediaに残っていることだ。なべやかんに確認したら、「当時のチラシに名前はありませんでした。芸名、変えていますかね? 記憶から欠落しています」と。2006年の話だが、当時は目立たなかったのだろうか。色々、興味深い。 松本若菜、中村ゆり、そして幸田尚子。遅咲きとも言うべきアラフォー美人女優がいっきに開花しそうな今夏。注目すべき3人だ。◆山田美保子『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)などに出演中。CM各賞の審査員も務める。
2022.06.01 07:00
NEWSポストセブン
幅広い世代に支持される上白石萌音(左)と萌歌(写真/共同通信社、時事通信フォト)
上白石萌音&萌歌「最強姉妹」 共演の大和田伸也や演出家が絶賛するポイント
「こんな娘がうちにもほしい!」──テレビを観てそう思った人も少なくないだろう。最近、引っ張りだこの姉妹、上白石萌音(24)と萌歌(22)。幅広い世代に支持される、真っ直ぐなキャラクターはどのように醸成されたのか。【全4回の1回目】 * * * 姉の萌音が昨年、NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でヒロインを演じたかと思えば、現在放送中の朝ドラ『ちむどんどん』では、妹の萌歌がヒロインの妹役を務める──。 女優としてだけでなく、声優・歌手としても活躍する「上白石姉妹」は、今、最も注目される“最強姉妹”と言えよう。アイドル評論家の中森明夫氏が語る。「若い子だけでなく老若男女に人気があるのが強い。2人揃って好感度が高く大衆に愛される新時代の国民的女優で、“NHK御用達”なのも納得です」『カムカム』で萌音と共演した俳優・大和田伸也(74)は、初対面から萌音に魅了されっぱなしだったと話す。「顔合わせの挨拶が終わった後、話しかけに行こうかなと思ったら、こちらが動く間もなく走り寄ってきてくれて、『よろしくお願いします』って。すごく礼儀正しい子だなぁと感心しましたね。 僕から見て、萌音ちゃんはまさに理想の孫。こんな娘さんのおじいちゃん役がやれて、本当に幸せでした。最後のシーンでは心の底から萌音ちゃんに『幸せになれ』と思いながら目を閉じました」 大和田は、撮影時の萌音の女優としての理解力の高さに驚いたという。「彼女は役に対する解釈がすごくしっかりしている。それでいてわざとらしくならず、自然体で演じることができるんです。大っぴらには見せませんが非常に努力家で、縫い物をするシーンがあったのですが、彼女は自分の出番がくるまでの間、セットの片隅の暗がりで、ひとりでちくちくと裁縫をしていました」 一方、妹の萌歌はというと人気ドラマ『義母と娘のブルース』(2018年・TBS系)で綾瀬はるかの義娘を演じたことで大ブレイクした。「役者としての彼女は不器用だけど、爆発力がある。天才的というか、僕らの想像を超えたお芝居をしてくるんです」 そう評するのは、同作の演出を担当した平川雄一朗氏。「彼女は常に一生懸命に、真剣に、“心で演じる”ことを意識している。だからこそ人の感情や琴線に触れる演技が出てくるのだと思う。僕の言ったことを理解し、それをそのままやるんじゃなくて、さらに発展させられる。また仕事をご一緒したいなと思わせる、素晴らしい女優さんです」 奇しくも2人ともその素直な人間性と役柄への取り組みが高く評価されているようだ。(第2回に続く)※週刊ポスト2022年6月10・17日号
2022.05.30 16:00
週刊ポスト
黒島結菜、朝ドラの現場に“マイ三線”持参 独自の楽譜も難なく読み、かなりの腕前
黒島結菜、朝ドラの現場に“マイ三線”持参 独自の楽譜も難なく読み、かなりの腕前
「うちは何があっても絶対に辞めません!」──瀟洒なイタリアンレストランのホールに、コックコートを着た新人スタッフの力強い声が響く。沖縄から上京し、料理人になるという夢を叶えるため、東京・銀座のレストランで働くことになった主人公・比嘉暢子(黒島結菜)は、勤務初日からさっそく10連勤を言い渡され、覚悟を問われた──。 5月16日の第6週からNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』は沖縄から舞台を変えて、東京編に突入した。偶然出会った、沖縄県人会会長の推薦でなんとかイタリアンレストランに採用された暢子。第7週(5月23日〜)からは東京で料理人として厨房に立ち、夢に向かって突き進んでいく。 物語はまだ始まったばかり。日々、撮影は進んでいるが、撮影現場ではテレビでは見ることのできないアクシデントや爆笑秘話が隠されていた。黒島は「くんくんしー」が読める! 作中で登場する歌に添えられるのは、沖縄音楽に欠かせない三線の優しい音色だ。キャストの沖縄ことば指導を行い、暢子が下宿する沖縄居酒屋「あまゆ」の主人としても出演する、うちな〜噺家の志ぃさー(藤木勇人)さん(61才)が明かす。「上白石(萌歌)さんのほか、ドラマで演奏シーンのある片岡鶴太郎さんや大森南朋さんらが猛練習していました。さらに、控室には誰でも弾いていい“フリー三線”が置いてある。上白石さんたちが練習しているのにつられ、演奏するシーンのないキャストも手にとっています」 さらに「マイ三線」を持参する出演者もいるという。ヒロインの黒島だ。「黒島さんはお祖父さんから継り受けたという三線を現場に持ってきて練習しています。ドラマの撮影が始まってから、練習を始めたのですが、もうかなりの腕前ですよ。『くんくんしー』という三線独自の楽譜も難なく読んでいて驚きました。演奏に合わせて唄をつけるのが難しく、練習中だとか」(志ぃさーさん) 多くの出演者が練習を重ねたのは、沖縄ことばだ。今作では、「あきさみよー」(なんてこった)、「で〜じまーさん」(とってもおいしい)など、沖縄ことばが頻出する。スタジオでは撮影直前までスマートフォンで、正しいイントネーションが吹き込まれた音源を再生する姿がチラホラと見られるという。過去に『ちゅらさん』(2001年)、『ごちそうさん』(2013年)などの作品にも参加してきた制作統括の小林大児さんが、沖縄ことばが頻出する意図について話す。「意識したのは、21年前の『ちゅらさん』のときよりも沖縄ことばの数を増やしたが、解説やテロップはなるべく少なくしたこと。 いまは、ドラマを見ていて、言葉の意味がわからなくてもスマートフォンで気軽に検索ができる。物語の展開や出演者の表情で沖縄ことばの意味が伝わることもあると思います。わかりやすさに配慮しすぎるよりも、沖縄らしさが色濃い方が、見ているかたにより楽しんでもらえるのではと考えました」 タイトルとなった『ちむどんどん』はワクワクするという意味の沖縄ことばで、ちむは「心」を指す言葉だという。「ちむは、『ちむどんどん』という使われ方に限りません。たとえば、『ちむぐりさん』と言えば、他人が困っているところを見て自分の心も苦しくなるという意味です。沖縄の言葉には、人間の優しさがさりげなく潜んだ言葉が多くあります。こういった優しさがドラマのなかのせりふを通して伝わればいいなと思います」(前出・志ぃさーさん)※女性セブン2022年6月9日号
2022.05.30 07:00
女性セブン
『ちむどんどん』撮影秘話 “海辺で起きた奇跡”と“お蔵入り水鉄砲シーン”
『ちむどんどん』撮影秘話 “海辺で起きた奇跡”と“お蔵入り水鉄砲シーン”
 4月にスタートした朝ドラ『ちむどんどん』は、沖縄が舞台の物語。5月16日の第6週から、東京編に突入したが、沖縄ロケで撮影された青い海ややんばるの自然豊かな風景も、ドラマの見どころのひとつだ。『純と愛』(2012年)以来となる沖縄を舞台とした朝ドラとあって、撮影地である沖縄の各市町村の人々も協力を惜しまなかった。ロケでは控室として公民館が使われ、地元の人々との交流もあったという。 過去に『ちゅらさん』(2001年)、『ごちそうさん』(2013年)などの作品にも参加してきた制作統括の小林大児さんは、こう話す。「エキストラとして地元のかたがたに出演いただくだけでなく、差し入れをいただくこともあり、ありがたい限りです。『ムーチー』という沖縄の蒸し菓子は、素朴な見た目も相まって大人気でした」「ムーチー」は甘く味付けた餅をサンニン(月桃)という樹木の葉で巻いた沖縄で古くから食べられているお菓子だ。ドラマの舞台裏でも“沖縄の味”が人と人の心をつないでいた。 そんな沖縄ロケでいちばんの悩みの種は天候だ。亜熱帯気候に属する沖縄の天気は変わりやすい。カラッとした快晴が続いたかと思えば、突然スコールのような雨に見舞われる日もあったという。しかし、天候が撮影に味方したこともあった。黒島結菜(25才)演じるヒロイン・暢子が東京へ旅立つ直前に、比嘉家の3姉妹が海辺で水遊びをするシーンだ。 青空の下、波打ち際で歓声を上げながら水を掛け合ってふざける短いカットだが、美しい風景や、姉妹が心から楽しそうにしている表情を覚えている人も多いのではないか。この前半の名シーンで奇跡が起きていたという。「もともとは、3姉妹と仲間由紀恵さん(42才)が演じる母・優子が芝生でピクニックをするシーンでした。ところが、当初は曇りの予定だったのがきれいに晴れて海もキラキラと美しかったことから、撮影当日に急遽ロケ地を海辺に変更したんです。黒島さんたちも大はしゃぎで、忘れられないシーンになりました」(小林さん・以下同)お蔵入りした入浴シーン 比嘉家のお風呂は薪風呂で、誰かが入浴する際にはほかのきょうだいが薪をくべ、何気ない会話が交わされる。時には、面と向かってはしにくい話が切り出されたり、本音があふれたりする印象的なシーンが多い。しかし、お蔵入りになった映像もあるのだとか。定職につかない賢秀(竜星涼)が町でトラブルを起こしたにもかかわらず、ご機嫌でお風呂に入っているシーンだ。「賢秀がご機嫌で『翼をください』を熱唱しているのに対し、外で薪をくべている暢子が不満をぶつけるシーンでのこと。竜星さんがせりふを言い終わった後にアドリブで手で水鉄砲を撃ったところ、それが黒島さんにかかってしまった。現場は笑いに包まれましたが、結局、放送では水鉄砲のところは割愛されました」 現場に響くのは、笑い声だけではない。「物語の中で『椰子の実』を歌い、見事な歌声を披露した上白石萌歌さん(22才)だけでなく、ほかの出演者も、待ち時間にはふと気がつくと歌を口ずさんでいることがあります。スタジオの控室で、誰かが歌い始めた島唄に周囲のみんなが声を乗せ、“昭和の歌声喫茶”のようになったことがありました」 ドラマでも合唱シーンをぜひ見てみたい。※女性セブン2022年6月9日号
2022.05.29 07:00
女性セブン
代役をハマり役に変えた(時事通信フォト)
川口春奈の凛とした魅力 賛否両論渦巻く『ちむどんどん』で一服の清涼剤に
 視聴者にとって鮮烈な印象を残すかどうかは、必ずしも役の大きさに比例しない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラを分析した。 * * * これほど賛否両論渦巻くNHK朝ドラって、見たことない。『ちむどんどん』は本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、兄と三姉妹、母という家族の物語。ヒロインの次女・比嘉暢子(黒島結菜)は高校を卒業し東京へ出て、銀座の高級イタリアンレストランで修行中です。 十分な準備もせずに当てずっぽうに上京した暢子ですが、トントン拍子に住むところも仕事も見つかる。このヒロインの性格は思い込みが強くてプラス志向、こうだと思えばズンズン我が道を進んでいく。レストランのオーナーに意見までしてしまう。そうした暢子の天真爛漫さ、天衣無縫ぶりが、しかし視聴者には「努力が足りない」「感謝の念がない」「礼儀がなっていない」と突っ込みどころ満載のようです。 私個人としては、このドラマにはもう一人の正統派ヒロインがいる。そんな印象を抱いています。そのヒロインとは……長女・良子(川口春奈)です。 たとえ兄の賢秀(竜星涼)がバーガー店内で大暴れをし借金したままドロンしても。金持ちの息子・金吾(渡辺大知)がわーわー大声で良子に結婚を迫ってきても。ドタバタ喜劇の空気に、どこか浸食されずに一人気品を保っている川口さんがいい。一服の清涼剤のようです。 川口さんはキャラクターの設定や人間関係の全体に目を配り、「貧乏な一家を支える長女としての良子」という人格をしっかりと掴んで演じ切っています。そう、どんなに回りがハチャメチャになっても自分の芝居を続けている。そんな川口さんが自然と中心柱のように見てきてしまうのは、私だけでしょうか。 ここで良子はどんなリアクションをすべきなのか、するのが自然なのか、演技でピタリと見せてくれるので視聴者としては「ほっと」する。簡単にいえば、ヒロインの暢子に反発ばかり覚えてしまうけれど、良子にはスムーズに感情移入できる。半年間も続く朝ドラのヒロインです、少なくとも視聴者が感情移入できたり共感できることが必須条件ではないでしょうか。 そしてヒロインには、迷いつつ矛盾を抱きながら苦闘し困難を突破していく、という心理的葛藤=ストラッグルがどうしても必要でしょう。しかし、残念ながらここまでのところ暢子の内面にそうしたストラッグルを感じることができなくて、もどかしい。 振り返れば、川口さんの名はNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(2021年)の帰蝶役で、一層広く知られることになりました。沢尻エリカさんの代役としていきなり織田信長の正室・帰蝶に抜擢された。しかも、大河ドラマは初めてで注目されましたが、受けて立った川口さんは実にすっくとして見事でした。着物姿が堂々と似合っていて、ふるまいは板についていて、「川口さんが演じて良かった」と雨降って地固まる結果に。 しかし、私自身はその前から川口さんの凜とした姿に注目してきた一人です。スポーツ番組のスペシャルキャスタ-として現場を取材する姿が実に清々しかった。そのスポーツを理解した上で、的確な質問を繰り出す。ムダに笑わず媚びない、愛嬌でごまかさない。物事を聞く時の率直さ、取材者としてアスリートをリスペクトしつつも正面から質問し役割を果たす爽快さ。今回の朝ドラの中でも、そんな彼女の凜とした魅力や爽快な持ち味が効果を上げています。 もちろん、三姉妹でいえば三女・歌子役の上白石萌歌さんも良い味を出している。ただし、いかんせん演技より「歌」が目立つ。ドラマがスタートして2ヶ月ほどの間に「翼をください」「あの素晴しい愛をもう一度」「芭蕉布」「椰子の実」と歌うシーンが入り、何だか歌の担当みたい。 もちろん上白石さんに罪は無く、歌はうまいし音程も正確ですが、こう繰り返し歌うシーンを見せられると「歌はわかりました、もっと演技を」と言いたくなる。その上、タイミングを合わせたかのようにデジタルシングル「椰子の実」を配信リリース、とか聞かされると、何だか大人の事情に巻き込まれた歌姫みたいで、ちょっと痛々しい。 借金の踏み倒しに金の持ち逃げ、詐欺的行為、歌子と良子の入浴シーン、オーナーに喧嘩を売る暢子--今回の朝ドラはSNSのバズりを狙ったかのようなエピソードがてんこ盛り。けれども、小手先の炎上手法は朝ドラの枠にさほどフィットしないかも。何だかんだ言って半年間も続く「ドラマの王様」。ヒロインも王道をしっかりと歩んでいただきたいと思います。
2022.05.28 16:00
NEWSポストセブン
『ちむどんどん』 当初の設定は“4姉妹”、家族に迷惑かける兄は企画になかった
『ちむどんどん』 当初の設定は“4姉妹”、家族に迷惑かける兄は企画になかった
 現在放送中の朝ドラ『ちむどんどん』は、2012年放送の『純と愛』以来となる沖縄が舞台の物語。この物語で貫かれるテーマは家族愛だ。比嘉家は、4きょうだい。マイペースでお金にルーズな長兄・賢秀(竜星涼・29才)と、責任感が強くてしっかりものの長女・良子(川口春奈・27才)、天真爛漫で食いしん坊の次女・暢子(黒島結菜・25才)、そして体は弱いが歌の才能があり、芯の強さを持つ三女・歌子(上白石萌歌・22才)だ。 主人公の暢子を演じるのは、『マッサン』(2014年)、『スカーレット』(2019年)に続いて、3度目の朝ドラ出演となる黒島結菜だ。過去に『ちゅらさん』(2001年)、『ごちそうさん』(2013年)などの作品にも参加してきた制作統括の小林大児さんが明かす。「4きょうだいの絆が多くの人の心に刺さっているのは、キャストの演技力の賜でもありますが、実際の関係性も反映されていると思います。カメラが回っていないところでもおしゃべりが絶えず、賢秀を演じる竜星涼さんがいじられキャラのようです」 賢秀はけんかをしたり、借金を抱えたまま行方がわからなくなるなど、たびたび家族に迷惑をかける。しかし、妹を上京させるためにいきなり大金を工面するなど、憎みきれない人物で、物語に欠かせないキャラクターだ。だが、当初は賢秀のキャラクターは企画になかったという。「実は企画段階では一度、『若草物語』や谷崎潤一郎の『細雪』のような4姉妹が想定されていたんです。兄への設定変更は、『マッサン』を手がけた脚本家・羽原大介さんのアイディアです。羽原さんのお父さんが男1人、女3人という4きょうだいだった。身近でその様子を見てきたので、関係性がイメージしやすかったのだとか」(小林さん・以下同) 4きょうだいと母親による比嘉家の物語はまだまだ続いていくが、悔やまれるのは子供たちの個性を尊重し、あたたかい目で見守ってきた一家の父・賢三(大森南朋・50才)が物語の序盤、第2週で亡くなってしまっていることだ。 賢三の存在感は、命が失われてから時間が経つにつれて大きくなっており、視聴者からは、再登場を強く望む声も多く聞かれている。小林さんが物語の今後について話す。「東京編では、これまで明かされていなかった賢三の過去がベールを脱ぎます。賢三は家族だけでなく、鶴見の人々やレストランのオーナーなど、みんなの心の中で“生きている”のです。大森さんの新たな出演シーンも、ぜひ楽しみにしていてください」※女性セブン2022年6月9日号
2022.05.27 16:00
女性セブン
実は「てびち」(豚足の煮付け)が苦手な黒島結菜
賛否両論の朝ドラを「ちむどんどん」しながら堪能するコツ5
 朝ドラともなれば色々な人が色々なことを言うものである。大人力について日々研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。 * * * テレビの視聴者は、番組について好き勝手なことを言います。昔は家の中で画面に向かって言うだけでしたが、昨今はtwitterなどのSNSやネットニュースのコメント欄などを通じて、それぞれの声が可視化されるようになりました。 視聴者はひとりでドラマを見ていたとしても、twitterに感想を書き込んだりハッシュタグを活用して多くの人の声を読んだりすれば、大勢でワイワイ言い合っている気になれます。とくにドラマを存分に楽しむうえでは、もはやSNSは欠かせないツールと言えなくもありません。ひときわにぎやかな感想戦が繰り広げられるのが、NHKの朝ドラ。4月頭まで放送されていた「カムカムエヴリバディ」に対しては、ドラマに魅せられた視聴者が毎日たくさんの称賛や応援の声を上げていました。関係者一同、さぞ嬉しくさぞ張り合いがあったことでしょう。 しかし、いったん風向きが変わると、SNSはその凶暴な本性をむき出しにします。世の中で「悪者」と認定された人に対する容赦のなさと同じように、いったん「面白くない」というレッテルが貼られた作品には、まったく容赦ありません。多くの人が「いかに面白くないか」「どこがダメか」を競って語ろうとします。そうなってしまうと、実際に面白いかどうかや、自分が本当はどう感じているかは関係ありません。 ところで、話はコロッと変わりますが、現在放送されているNHKの朝ドラ「ちむどんどん」にも、twitterをはじめとするSNS上に賛否両論さまざまな意見が書き込まれています。何となく否定的な意見が目立つようにも見えますが、ネットの特性上、自分が目にしたい意見ばかりを見つけてしまっている可能性もあるので何とも言えません。迂闊に世間の風向きに忖度して評価を下すのは避けたいところ。たくさんのプロのスタッフが英知を結集して、プロの役者さんが全力で演じてくれているんですから、面白くないわけがありません。ご都合主義にも感じられるストーリー展開や、どう受け止めていいか迷うキャラクター設定も、きっと深い考えや今後への布石があってのことです。5月16日からの週では、主人公の比嘉暢子が東京での料理人修行をスタートさせました。きっとこれからウソのようにストーリーが盛り上がり、誰もが素直に魅力的と思えるヒロインに生まれ変わって、脇役の言動に首をかしげることもなくなるはず。今のところ違和感を覚えている視聴者も、一気にドラマの世界に没入させてもらえるはずです。「ちむどんどん」とは、沖縄の方言で「心がワクワク、ドキドキする」という意味。もちろん、心の底から毎日ちむどんどんして、ドラマを楽しんでいる方は多いでしょう。その気持ちに水を差すつもりは毛頭ありません。いっぽうで、あーだこーだ文句を言いながら(SNSに文句を書き込みながら)見続ける道もあります。 ドラマというのは、満足できなければ見るのをやめればいいだけ。誰も強制はしていません。しかし、朝ドラの場合、とくに見ることが長年の習慣になっていると、たとえ好みに合わなくても気軽に「離脱」しづらいのが厄介なところ。それが朝ドラの恐ろしさであり、視聴者を簡単には離さない底力です。「積極的に見たいわけじゃないけど、離脱もしづらい」という苦しい状況にある人が、「ちむどんどん」を見ながら最大限にちむどんどんするにはどうすればいいのか。5つのコツを考えてみました。その1「暢子のガサツで非常識な行動を嘆き、自分が親や上司ならどう叱るかを考える」その2「善良だけどダメという母親の優子の演じている仲間由紀恵に同情を寄せる」その3「賢秀ニーニーのバカっぷりを見て『自分の身内じゃなくてよかった』と安堵する」その4「twitterの『#ちむどんどん反省会』を読んで荒ぶった心を浄化する」その5「続いて放送される『あさイチ』の博多華丸・大吉さんが、どんな苦し紛れな朝ドラ受けをするかを楽しむ」 友人との会話のネタにしたり、SNSを駆使したりするのもいいでしょう。この5つを実践して、結果的に「ちむどんどん」を見るのが楽しみになれば、めでたしめでたし。しかし、いっこうに楽しくちむどんどんしなかったら、あるいは厄介な方向にちむどんどんし過ぎて苦しむことになったら、いよいよ最後の手段です。漠然とした抵抗感や罪悪感を振り払って、勇気を出して「離脱」の道を選びましょう。そして、きっちり「離脱」できた暁には、がんばった自分、負けなかった自分をホメてあげます。好みに合わない番組を見るのをやめただけで、そこまでの達成感や満足感が得られるなんて、やっぱり朝ドラは素晴らしいですね。しかしまあ、好みに合わないなら、黙って見るのをやめればいいじゃないかという意見もあるでしょう。ごもっともです。ひねくれた感想を言ったり書いたりして、せっかく楽しく見ている人に不愉快な思いをさせるのは、たしかに迷惑。そのへんも「もしかして迷惑かな……」と心配をふくらませることで、別のちむどんどんが味わえます。ああ、無敵なり「ちむどんどん」!
2022.05.21 16:00
NEWSポストセブン
川栄
川栄李奈、西野七瀬ら“元アイドル女優”の躍進 彼女らに共通する“意志とプライド”
 異例の3人のヒロインによるNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、最後のバトンを引き継ぎ話題となった川栄李奈(27才)。SNSなどの口コミには「演技だけでなく英語の上手さにも驚いた」、「てっきり子役出身だと思っていた」といった声が上がり、本作で彼女が“元アイドル”だと知る人も多かったようだ。川栄だけでなく、前田敦子(30才)や西野七瀬(27才)など、近年アイドル出身の俳優が目覚ましい活躍を見せている。彼女たちが俳優として大成する理由や共通点について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。 * * * 川栄李奈がヒロインの1人を務めた『カムカムエヴリバディ』は、母から娘へと、3人の女性の100年間を描いた物語。初代ヒロインを上白石萌音(24才)が、2代目を深津絵里(49才)が、3代目を川栄が演じ、物語の一貫性を保ちながらも、ヒロインが変わるたびに作品は異なるカラーを発し話題を呼んだ。川栄が演じたひなたは、両親からの愛情を一身に受けて育ったヒロイン。明るい笑顔が印象的で、その天真爛漫な性格が日本の朝のお茶の間を活気付けていた。 川栄は、素朴な等身大の女性を表現する自然体の演技と、“分かりやすさ”を重視したオーバーアクトを器用に演じ分けていた。この彼女の演技の緩急に惹きつけられていた人は多いことだろう。観る者を飽きさせない演技の幅の広さは、主演俳優にこそ求められるもの。AKB48を卒業後、俳優として相当な場数を踏んできたとはいえ、口コミのように、こんな芸当を見せた川栄を「子役出身者」だと勘違いする人がいてもおかしくはない。 そんな川栄の先輩にあたる前田敦子は、かつて中心メンバーの1人として活躍したAKB48を卒業後、いち早く俳優として名を成してきた存在だ。グループのセンターを務め続けたトップアイドルとあって、いまだアイドル時代の印象を持っている人も多いのではないだろうか。しかし、実情は違う。ドラマや映画で主要キャラクターを演じることは早くからあったが、近年は世界的に評価を集める黒沢清監督(66才)の作品の看板となったり、昨年には野田秀樹(66才)率いるNODA・MAP作品に初参加し、舞台『フェイクスピア』で3役を華麗に演じ分けた姿が記憶に新しい。同作は第29回読売演劇大賞で大賞・最優秀作品賞を受賞した。同作における前田の貢献度はかなり大きかったと思う。 そして、乃木坂46のセンター常連であった西野七瀬も、いまでは俳優として引く手数多の存在だ。まだ演技のキャリアは短いものの、絶えず何かしらの作品に出演している印象がある。現在はドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ・フジテレビ系)で主要人物を演じており、この5月には舞台で海外戯曲に挑み、堤真一(57才)や森田剛(43才)ら手練れの演劇人との共闘を見せている。第2のヒロインを演じたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)や第45回日本アカデミー賞で優秀助演女優賞を獲得した映画『孤狼の血 LEVEL2』など、自身の代表作と呼べるものも着実に手にしている。 アイドルは、観客を前に常に演じなければならない存在だ。歌や踊りをはじめとする訓練を受け、築き上げた自身のイメージを保つためにパフォーマンスを続ける、並ならぬ強い意志とプライドが必要になるだろう。川栄や前田、西野らの活躍を見ていると、この意志とプライドを共通して感じる。アイドル時代の訓練や日々のパフォーマンスから自身の得意なものを見つけ、それを特性として卒業後の活動を展開させている。彼女たちの場合はそれが、俳優業だったわけだ。アイドルは長く続けられるものではないが、俳優という職業は生涯現役。彼女たちの存在は、現役アイドルである後輩たちの希望にもなっているのではないだろうか。 彼女たちの他にも、アイドル出身者が俳優として成功する例は少なくない。しかし川栄のように“朝ドラのヒロイン”に抜擢されるというのはまた別格だ。朝ドラの視聴者は老若男女を問わず幅広く、固定ファンからの支持も厚い。文字通りの“国民的ドラマ”であり、これでヒロインを務めるというのは、つまり“国民的ヒロイン”になるということだ。川栄は間違いなく今、目覚ましい活躍を見せる元アイドル俳優たちの先頭に立っているだろう。【折田侑駿】文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。
2022.05.21 16:00
NEWSポストセブン

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