SNSで軍部に嚙みついたプリゴジン氏(写真/AFP=時事)

SNSで軍部に嚙みついたプリゴジン氏(写真/AFP=時事)

 さらに、ロシアの独立系世論調査期間「レバダ・センター」が発表した「最も信頼できる政治家」の調査ではプリゴジン氏が5位に入っている。中村氏の話。

「プリゴジン氏の最終目標はプーチン氏から権力を奪い取ることでしょう。暗殺、それができなければクーデターの形で、ワグネルを率いてクレムリンに乗り込むことになる。

 プーチンの他の仲間たちが銀行や天然ガス会社、石油会社のオーナーになって“我が世の春”を謳歌する陰で、プリゴジン氏は汚れ役ばかりを任されてきた。自分だけが冷や飯を食わされてきたという忸怩たる思いがあるはずで、プリゴジン氏の立ち位置は、織田信長に謀反を起こした明智光秀と似ています」

 プーチン氏にとって憂いはプリゴジン氏だけではない。政権打倒を掲げる自由ロシア軍やロシア義勇軍がプリゴジン氏と手を結ぶという話も飛び出ている。

 中村氏によれば、「ワグネルがこれらの反プーチン組織から武器を調達、ロシア正規軍の位置情報を提供しているとの情報もある」という。

「もちろんプーチン氏もプリゴジン氏の動きを察している。しかし、今の彼にはワグネルを潰す力がない。戦争を続けるにはワグネルに頼らざるを得ず、手を出すことができないのです。プリゴジン氏と他の勢力が完全に結びついてしまえばチェックメイトです」(中村氏)

 手懐けていた飼い犬に噛み殺される日は、刻一刻と迫っている。

※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号

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