年齢を重ねてこそ醸し出されるこの色気。

年齢を重ねてこそ醸し出されるこの色気。

「もともと、数学と恋愛は苦手科目なんです。人生の最も忙しい時期に、苦手科目だった恋愛を克服したつもりで伴侶を得たのに、結局私は仕事に全力投球し続けていた。お互いに休みを合わせて旅行をしたり、一緒にいる時間をつくろうとはしたんですけど、そんな貴重な時間も議論になってしまうことがよくありました。

 今思えば、夫婦の会話は寄り添いが基本なんですよね。相手が何かを話したら『そうだね』とまずは受け止める。でも私は『もっとこうした方がいい』と真っ向から意見を述べちゃうんですよね。

 愛情が強いほど真剣になって強く言ってしまう。でも、そんなことを続けていれば、当然ぶつかるし、関係も家庭での居心地も悪くなっちゃいますよね。歩み寄ろうと努力はしたけど、結局、お互いのために別れることになりました。元夫には悪かったなって思います」

『この人は困っている、助けよう』『面倒を見よう』と思った瞬間に、強い愛情が生まれるという彼女。相手も自分と同じ熱量があると思いこんでいるので、『こうしたほうがいい』と熱心にアドバイスや意見をしてしまう。

痛い経験を掘り起こすと、私の愛情が強すぎて不器用だったから

「でも、たいてい相手はそこまで望んではいないので、関係が悪化したり、決裂してしまう……。結婚生活だけでなく、人との関わりでそういうことが多々あることに気づいたんです。

 まあ、痛い経験を思い出し掘り起こし、観察しながらわかったのは、私の愛情が強く不器用なゆえにおこる弊害が多かったということ。その一部は報道されたこともありました」

 エネルギーのバランスが違えば上下関係があるように見えたり、一方が我慢しているようなひずみや不満も生まれる。その結果、パワーハラスメントやモラルハラスメントだと感じる人もいて、爆発する。

「『真剣に向きあってるのに何でこんなことになるの?』と驚き、悲しかった。落ち込む私を見たある人から、こう言われたんです。『あなたのいいところは、愛情がストレートで、心はいつもオープンなこと。でもね、玄関のドアはもちろん、あらゆる窓、ひいてはトイレの窓まで開きっぱなしだと、望まないものまで入って来ちゃうじゃない? せめて網戸くらい張ろうよ。そうしないとあなたがボロボロになってしまうよ』」

 そのとき、なるほどと納得はしたが、ドーンと腑に落ちたのは、コロナ禍になってこれまでの人生を振り返ったときだったという。

息の合った女性カメラマンが引き出したショット。

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