東大での講義は一般にも開放された

東大での講義は一般にも開放された

「売名に決まってるじゃないですか」

 身体情報学分野を専門とする先端研の特任研究員・宮崎敦子さんの主導で検証が行われ、今回の講演はその縁もあって開催された。

「GOLD世代のダンスプロジェクトは杉さんの提唱で始動しました。1年に1回大会を行い、47都道府県のチームが本気で戦って優勝を目指すと聞いて、最初は実現可能か半信半疑でした。私は高齢者の認知症予防にダンスがいいという研究をしてきましたが、競い合うことでやめてしまう人が出てしまうのではないかと、不安があったんです」(宮崎さん)

 その心配をよそに、昨年行われた第1回「FIDA GOLD CUP」は盛況のうちに幕を閉じ、「シニアから元気を発信する超高齢社会のダンス大会」という新しいカテゴリーを創出。ダンス健康クラブ登録チームも6府県8チームから16都府県26チームへと増え、現在は約450人が活動している。

「ステージの雰囲気やチームの団結力、衣装などで総合的に審査を行い、ダンスの優劣だけを競うことがゴールではないことで継続できる未来が描けました。かつては高齢者施設へ若い人が出向いてダンスを披露しましたが、いまではGOLD世代のダンスを通じて小学生にパワーを届けるような逆転も起きています」

 そう語る宮崎さんは、昨年から各地域で参加者の認知機能、身体機能のデータ収集に着手し、5年続けて追っていくという。当初はダンスをしていない人との接点がなかったが、先端研の地域共創プログラムを通じて大阪府のチーム「まかろん♪」が拠点を置く泉大津市と連携が生まれ、官民学一体でダンスが認知機能をどう改善するか、検証を進めている。オンラインでクロストークに参加した泉大津市の南出賢一市長も取り組みに触れ、

「最高齢90才のチーム『まかろん♪』さんは昨年、計1万3000人が訪れた会場でダンスを踊り、昨日もイベントでステージに2回出演してくださいました。市内を歩けば、シニアの皆さんから“健康ダンスでは物足りない。『まかろん♪』さんのようなヒップホップを踊りたい”という声も増えたんです。ダンスを通じて自己表現ができる場、生き生きと活躍できる場を市としても作っていきたい」

 と語った。チームは街のアイドル的存在だそうで、「ダンスひとつでも、できる喜びはいくつになっても感じられる。“できない”を“できる”に変えていきたい」と、南出市長は行政側からのサポートを約束した。

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