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「クラブ募集馬は安い」と思ってしまうセレクトセールの楽しみ方

(写真:Japan Racing Horse Association)

最高値を付けたコンヴィクションIIの2023(写真:Japan Racing Horse Association)

 今年も盛況だったセレクトセール2023(7月10、11日)。現地を取材した競馬ライターの東田和美氏がレポートする。

 * * *
 落札された435頭の総額が281億4500万円、1億円以上の値を付けた馬が63頭というから、馬主の財力はすさまじい。落札額があっという間にセリ上がり、2000万円単位で上がっていく中でも、欲しい物は欲しいという思いは揺らぐことがない、その胆力にも感服してしまう。

 そんなことを実感した別世界のセリ市ではあるが、ノーザンファームを始め社台グループの良血馬が上場されるわけで、母や祖母になじんでいるクラブ会員にもそれなりの楽しみ方があり、わずかだが同じ空気感も味わえる。

5億2000万円馬の半姉がクラブで1800万円

 たとえば1日目の1歳市場、「アイムオールレディセクシーの2022」は2億9000万円で落札されたが、私はセリ名簿にも出ているこの馬の姉、2017年生まれの牝馬、エピファネイア産駒の「セクシーフェイス」に出資していた。社台サラブレッドクラブの所属馬で募集価格は1口50万円の総額2000万円。12回走って1番人気に推されたことは一度もないものの、2勝はいずれも高配当、ルメール騎手と並んで口取りも経験するなど、募集価格相応に頑張ってくれたと思っている。いまや種付料が1800万円にまでなった父と2億9000万円の値が付いた半弟がいると思えば、(自己満足にすぎないものの)いい馬に出資したのだなあと思える。

エピファネイア産駒のセクシーフェイス

エピファネイア産駒のセクシーフェイス

 クラブ所属馬の弟妹は軒並み高値を付けている。

 史上3番目の5億2000万円という最高値を付けたコントレイル産駒の母コンヴィクションII。この母の子は2019年生まれの父ジャスタウェイの牝馬がキャロットクラブから1800万円で募集されている。

 エピファネイアとの間に生まれた牡馬が2億5000万円で落札されたアンチュラスは、3600万円で募集されたGⅠサラブレッドクラブの所属馬。繁殖入り後の2017年ルーラーシップとの間に生まれた牡馬アンティシペイトが、やはりGⅠサラブレッドクラブから3000万円で募集され、リステッド競走を勝って1億円以上を稼ぎいまだに現役。

(写真:Japan Racing Horse Association)

ドナブリーニ産駒は毎年注目の的(写真:Japan Racing Horse Association)

 サンデーサラブレッドクラブのドナブリーニといえば、ジェンティルドンナの母で募集時にはその産駒が毎年のように人気を集めるが、今年の1歳世代はセレクトセールに父ドゥラメンテの牝馬が、当歳では父ドレフォンの牡馬が上場され、共に2億1000万円で落札されている。ディープインパクト産駒、一口85万円の出資で殿堂入りの栄誉を手にした会員にしてみれば隔世の感があるだろう。

同じ母を持つ父エピファネイアの牡馬が8000万円、牝馬が2億6000万円!?

 サロニカの当歳牝馬は2億6000万円で落札されたが、この春クラブで募集された牡馬は8000万円、父はともにエピファネイアだ。同様に3億円で落札のセリエンホルデ牡馬はクラブ募集でも1億2000万円だった。クラブ募集馬としてはどちらも高額だが、セレクトセールの方がより評価が高いというわけだ。

 1歳馬の出資申込みが始まったシルク・ホースクラブでは父ミッキーアイル・母モアナの牡馬が3200万円。この母は今年コントレイルの牡馬を出産1億7000万円の値が付いた。また父フランケル・母ジョイカネラの牝馬が5000万円で募集中だが、この母が今年生んだキズナの牡馬は1億5000万円で落札された。シルクと言えば今年はアーモンドアイの牡馬が2億4000万円で募集されているが、セレクトセールに上場されたらいったいどんなことになっていたのだろうか。

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