当歳市場は来年の1歳馬の募集価格に影響を与えることが考えられる。コントレイル産駒、キタサンブラック産駒は厳しい価格が付きそうだ。逆にモーリス、リアルスティール、イスラボニータなどは比較的落ち着くかもしれない、とそんな目算も立てられる。

 1億円超の値を付けた1歳馬28頭のうち22頭、当歳馬35頭のうち22頭の兄姉は、社台サラブレッドクラブ、サンデーサラブレッドクラブ、キャロットファーム、シルク・ホースクラブなどで募集されている。その総数は少なくとも94頭。これだけいれば、ある程度会員を続けてコンスタントに出資していれば、弟妹たちの晴れ姿を見られる。

 ちなみに今年クラシックに出走した50頭のうち10頭がセレクトセールの出身、トップオーナーにとってセレクトセール上場馬はやはり魅力的だ。そのうち1億円以上で落札されたのが6頭。目的は果たせたと言っていいのだろう。

 しかしクラブ所属馬の実績はそれをはるかに凌ぐ。クラシック出走は19頭。周知のように桜花賞、皐月賞、ダービーは上位3頭独占だ。募集価格の平均は3568万円、最高は皐月賞馬ソールオリエンスの6000万円、最も多かったのはダービー馬タスティエーラを始め2000万円台の馬だった。

ダービーを勝ったタスティエーラ

ダービーを勝ったタスティエーラ

 もちろん分割された「出資」と、個人が心血を注いで手に入れた「所有」を比較することの愚は重々承知しているし、目指すものが違うトップオーナーにしてみれば戯言に過ぎないだろう。またクラブ募集馬とセレクトセール上場馬の「質」を同等に考えることもできないかもしれない。

 それでもかつてその馬に縁があった者としては、感嘆するばかりではなく、気持ちだけでもセリに参加することで、日本競馬界の一員であることを実感できる。そこを足掛かりにしてより競馬の奥深さに触れたいというものだ。

●ひがしだ・かずみ/競馬歴45年、一口馬主歴35年、地方馬主歴35年の競馬ライター。通算では中央170勝、重賞12勝でうちGⅠ4勝。地方は南関東から北海道、園田、高知まで合わせて200勝ぐらい。現在、出資・所有馬合わせて38頭。

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