復活の鍵となるのは「第3の球種」
こうした分析に「僕はナックルカーブだけでした」と笑うのは東京ヤクルトやメジャーでも活躍した五十嵐亮太氏だ。解説者として、五十嵐氏は今季の投手・大谷をこう評価した。
「球種が豊富とはいえ、その日の状態によって自分の投げたいボールを投げ、力で打者を抑え込みたいタイプ。打つほうではMVP級の活躍が続きますが、投げるほうでは5月に入って、左打者には外から入ってくるボールを狙い打ちされ、右打者にも抜けたボールをとらえられている」
オールスターを前に、打者として32本もの本塁打を積み重ねた一方で、投手としては6月に入ってやや失速し、前半に比べてスイーパーよりも直球やカットボールの割合を増やしている。後半戦に入っても爪の負傷が長引き本調子にはほど遠いが、復活の鍵となるのは直球とスイーパーに続く第3の球種だという。
「大谷投手のスイーパーは確かに魔球ですが、打者の研究と対応が進み、それだけ投げていれば抑えられるという状況にはない。スプリットや縦のカットボールが増えてくれば投球の幅が広がります」(神事氏)
五十嵐氏が引退した2020年オフから、わずか2年半の間に動作解析技術は著しく進歩した。
「もし僕の現役時代にここに来ていたら、もう数年は現役を続けられたかもしれないですし、スイーパーを体得できれば、今からでも現役復帰を考えたい!」