「ほとんどの高血圧患者が、カルシウム拮抗薬か、先ほどのACE阻害薬・ARBのどちらかを服用しており、メジャーな薬です。血管を広げて血圧を下げるカルシウム拮抗薬は、夏に効きすぎるリスクは考えられず、中止の検討や減量の必要は基本的にありません。ただし、急に立ち上がる時など一時的に血圧が低下して立ちくらみを起こす『起立性低血圧』のリスクは高まるので、注意が必要です」(同前)
長年、高血圧の治療を続けていると、複数のタイプの降圧剤を同時に服用するケースが多い。夏に「飲む・飲まない」あるいは「減らす」判断は、どうすればいいのか。長澤氏が言う。
「複数の降圧剤、利尿薬を服用する患者は特に血圧が下がりやすい傾向がある。夏は脱水に気を付けたうえで体重や血圧の変化に敏感になる必要があります。転倒してからでは遅いので、めまいやふらつきを感じた時点で主治医に相談しましょう」
そもそも脳卒中や心筋梗塞のリスクが高い高血圧患者が自己判断で薬をやめるのは厳禁だが、一方、前出の横尾医師は「惰性で処方し、実際にはなかなか話を聞いてくれない医師も多い」と明かす。
血圧の下げすぎから身を守るためには、根気強く主治医と対話する姿勢を持つことが肝要だ。
※週刊ポスト2023年8月11日号