「シミュレーションベースボール」を開発
まさか東松も、自身の発言を元にしたデータで研究されていたとは思ってもいないだろう。迂闊には自分のボールの特性をインタビュー等で口にできない時代が訪れるかもしれない。愛工大名電ナインはこうして東松を丸裸にし、2回途中までに7点を奪って東松をノックアウトした。事実上の決勝戦を制した愛工大名電はそのまま夏の愛知大会3連覇を遂げた。
同校ではラプソードを3台も取り入れていて、甲子園にも持参し、試合2日前となる取材日のブルペンでも使用していた。しかし、1台およそ75万円のラプソードが3台も必要なのだろうか──と思わなくもない。
「そのうちの1台は、ピッチングのデータだけでなく、打者の打球角度や打球速度、打球方向なども計測できる最新のモノです。1台120万円だったかな(笑)。普通に打撃練習をしていて、今打った打球の角度を認識する事はなかなか難しい。フリーバッティングやティーバッティングでも、ラプソードを使って打球角度を計測すると、15度の打球を生むためにはどういったバットの軌道が理想か、生徒が考えるようになる。すると、その日の球場の風の強さなどから、『今日は20度で打て』とか『12度の角度で狙え』などと指示ができるようになるんです」
さらに、球速と同時に1分間の回転数が計測できるスピードガンを導入。さらに同校のブルペンでは球速と共に回転数が電子掲示板に表示され、両翼100メートルの球場でもバックスクリーンとネット裏に球速が表示される。
「現在は屋内でできるシミュレーションゴルフならぬシミュレーションベースボールを開発していて、もう50%はできあがっています」