モデルさんなのでしょうか
特に近年は、盗撮動画がブームになっているという。一昨年から、遠方から超望遠レンズで露天風呂を盗撮していた「プロ盗撮グループ」が相次いで逮捕される騒動もあった。
犯罪ジャーナリストの諸岡宏樹氏は、こうした盗撮動画の売買がSNSで活発化していると言う。
「街の動画買取屋が消えた後は、組織や個人による“売り子”のような人物がSNSで売るようになった。アカウントをフォローして、ダイレクトメッセージを送り、『ペイペイ』など電子マネーで支払いをする。顔を合わせる必要がないので売る側も買う側もハードルが低く、個人間売買だと足がつきにくいと考えるのか、どんどん増えています」
実際にX(旧ツイッター)上では、売り子と思しきアカウントが直接的に盗撮動画であることは謳わず、〈きれいなお姉さんが出てくれちゃってますよ~〉〈モデルさんなのでしょうか〉などと書き、「#女湯」というハッシュタグをつけ、見本動画へ誘導しようとする投稿が見られた。
こうした「女性だけが入れる場所」を狙った盗撮の担い手は運営者の身内女性だけにとどまらない。世を賑わせるSNS上の“闇バイト”にも、「盗撮カメラの置き仕事」や「代理盗撮」などの募集があるという。
「バイトを募集するといっても、警察にすぐ目を付けられるような『盗撮女性募集』などと大っぴらに書いたりはしません。実はその“胴元”は、〈余命3か月だが預貯金数億円〉とか〈脱サラ起業で数億円稼ぎに成功〉などと謳ったアカウントで〈いいねした人に全員20万円あげます〉などとポストしている“お金配り”のアカウントが多い。楽してお金がほしい男女がターゲットですが、女性には〈実働3分で3万円〉などの言葉で誘い、トイレや脱衣所にカメラを置く犯罪に加担させられるケースもあるようです」(諸岡氏)
Xには“お金配り”をしている(実際には配らない)謎のアカウントが多数あるが、欲にかられて安易に「いいね」やフォローをすると、そこから犯罪の世界へ足を踏み込むこともあるのだ。諸岡氏はこうした闇バイトに加担する女性が増える問題点をこう語る。
「男性が望遠カメラで森の茂みから撮影するのと違い、女性が脱衣所でスマホを操作していても違和感はないので発覚しにくい。その点においてより悪質な犯罪といえます」
今回は有名企業の専務の逮捕によって注目を集めたが、闇バイトによる盗撮被害は水面下で広がっているはずだ。
※週刊ポスト2023年9月1日号