「日本じゃできない」
今回の台北国際成人展のような大胆な大規模イベントが実現した背景について、業界事情に詳しいライターの尾谷幸憲氏はこう話す。
「海外とくにアジアにおいて、日本のアダルト作品やセクシー女優のブランド力が高まり、海外在住のファンが急増している。モデルやタレントなど、海外ではアダルト作品という枠を超えた活躍をする女優も少なくありません」
その波に乗り、メーカーも女優の所属事務所も、海外で新たなビジネスモデルを構築しつつあるという。
「イベントなどで直接ファンと接するライブ体験に力を入れるようになっています。今後も、アジアでイベント開催が増加していくのは間違いない」(尾谷氏)
ある事務所関係者は、今回の台北国際成人展への参加には大きなメリットがあったと明かす。
「このイベントに出て挨拶回りをすることで、雑誌の表紙の仕事や他のイベントへの出演依頼をいただくこともある。台湾や香港では、化粧品やオンラインゲームなどの広告塔として起用してもらえるチャンスもある。いまやセクシー女優は日本だけのファンを対象にした商売ではありません。アジアでのイベント出演は今後も欠かせない大切な仕事のひとつです」
しかし、お膝元の日本では、こうした大規模なイベントが開催されなくなって久しい。
「大手アダルト配信会社のアワードイベントも、2019年を最後に開催できていません。日本はホテルやイベント会場側の使用条件が厳しくなり、会場が借りにくくなっている。今後も大規模なイベントの開催は難しいのではないか」(アダルトライター)
一方、今回の主催者側は来年のイベント開催に向けて意欲満々だ。前出の黄氏が語る。
「今回の成人展には、費用だけで数億台湾ドル(数十億円)をかけました。台湾だけでなく、日本や欧米など海外からも多くのファンが参加してくれました。来年も同じ時期に開催するほか、別の時期のイベントも企画しています」
日本が誇るセクシー女優たちが、巨額マネーで海外に“出張“する──。日本のファンにはちょっと寂しい構図ができつつあるのかもしれない。
※週刊ポスト2023年9月1日号