「いわゆる『自称サバサバ女』で、みんな辟易していました。ある日ついに“なんか、不倫してそうよね”と言われた後輩が“いい加減にしてください!”と言い返したんです。すると同僚は“年上にモテそうってほめてあげたのに!”“そんなに怒ること? 後輩のくせに生意気よ!”と逆ギレ。さすがに全員ドン引きで、誰も話しかけなくなりました。近々、転職するそうです」
間違っていることに気づけないままに反撃を受けると、このようにエスカレートしやすい。「自分は何も間違っていないのに、悪意をもって攻撃された。絶対に許さない」と過剰反応し、トラブルが拡大していくのだ。
「ごめんなさい」がいちばんの解決策
何気ない一言がきっかけで“抹殺”されかねないいま、どう生き延びればいいのか。キーワードは「リベラル・リテラシー」だ。
「現代は“誰もが自分らしく生きられるべきだ”という価値観を大前提としたリベラルな社会です。“私が自由に生きるのなら、あなたにも同じように自分らしく生きる権利がある”という自由の相互性が必要です。
人種、民族、ジェンダー、職業、年齢、容姿といったデリケートな話題で自分の価値観を一方的に押しつけようとすると激しい反発にあう。“地雷”を踏むのは多くの場合、本人にもなにがしかの非があるからでしょう。だから“差別的な人”“配慮のない人”と見なされてしまうのです。
相談されたのでもなければ、個人のパーソナルな部分には踏み込まないことが大切です。水くさいと思うかもしれませんが、リベラルな社会では、ベタな人間関係は嫌われるようになっていくでしょう」(橘さん・以下同)
それでも、めまぐるしく変わる価値観に完璧に追いつくのは難しい。うっかり炎上しそうになることはあるだろう。
「批判されたときは、なぜそのような言動をしたのか説明できることが重要です。意図せず差別と受け止められたときは“気づきませんでした。申し訳ありません”と素直に謝った方が、よい結果になるでしょう。とはいえ、“万能の処方せん”があるわけではありません」
「もはや、文化全体に“地雷”が仕掛けられている」といわれる現代社会。危険だらけの日常は「君子危うきに近寄らず」を心に刻んで生き抜こう。
※女性セブン2023年9月7日号