「前提となるのが血圧降下にも良いとされる『腹式呼吸』です。横隔膜をよく動かすことで腹圧を高め、頭の重さを支える背骨の負担をお腹まわりでサポートすることができる。両手をお腹に当て、膨らむのを確認しながら鼻から息を大きく吸い込みます。続いて口からゆっくりと息を吐きながら、お腹がへこむのを確認してください」
ストレッチは、椅子に座って足を肩幅くらいに開き、背中全体が伸びるように意識しつつ、8~10秒ほどかけて少しずつ前屈みになりながら、腹式呼吸の息を吐く動作を行なう。
「この時、背骨ひとつひとつの骨と、それを支える脊柱起立筋全体を伸ばすために、口から息を吐いて背骨全体を反らしながら骨盤を前に30~40度ほど傾けるようにします。続いて鼻から大きく息を吸い込みながら、元の姿勢に戻ります」(同前)
腰をほぐすストレッチだが、渡辺医師は「腹式呼吸によって自律神経が整い、血圧降下作用も期待できる」と指摘する。
「重病のリスク」に注意
その渡辺医師が腰痛に悩む人に推奨するのは、寝た姿勢で片足ずつゆっくり行なう「足上げストレッチ」だ。
「腰への負担が少なく、血流の改善、血圧の安定も見込める体操で、腹筋や骨盤まわり、太ももの筋肉を鍛えることを重視しています」(渡辺医師)
仰向けに寝転がり、片ひざを立てた状態で、両手はお尻の横あたりの床に置く。曲げたほうの足をゆっくりと胸に引き寄せ、5~10秒キープ。ゆっくりと足を戻す。この動きを片足5回ずつ、1日3回ほどスキマ時間に行なえばいい。
「この運動で全身の血液循環が促され、血管内側の内皮細胞が刺激されると、血管を柔らかくする一酸化窒素(NO)が産生されて、血圧降下作用が期待できます」(同前)