だが、その懸念は杞憂に終わった。選手たちの動きに目を凝らし、頭ごなしに指示することはない。防げるミスや一貫性のないプレーに対しては厳しいメッセージを送る一方で、選手を称賛するコメントも目立つ。バックネット裏で阪神の試合を見続けて、優勝を狙えるチーム作りを描いていたのだろう。
遊撃を守っていた中野拓夢を二塁にコンバートし、遊撃は木浪誠也と小幡竜平を競わせた。内外野の複数ポジションを守っていた大山悠輔は一塁、佐藤輝明は三塁に固定。73失策はリーグワーストだが、球際を攻めに言った結果の失策が少なくない。本拠地・甲子園が土のグラウンドであることも配慮しなければいけないだろう。守備位置を固定したプラスアルファは、打撃面にも影響を及ぼしている。スポーツ紙記者は、「選手たちは守備の負担が減ったことで、打撃に集中できると口をそろえている」と証言した上で、続ける。
「貧打が優勝できない要因と指摘されていましたが、今年の495得点はリーグトップ。投打でスキのない野球をしている。広島は戦力を考えれば大健闘ですが、新井貴浩監督はまだまだキャリアが浅い。実績で言えば巨人の原辰徳監督が抜きん出ているが、独裁政権が長く続きチームがマンネリ化している。首をかしげるようなベンチワークも多いし、監督としての手腕は岡田監督がセリーグで断トツだと思います」
阪神が日本一になればランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布の3者連続HRで知られる栄光の1985年以来38年ぶりになる。