教団と関係の6大臣
だが、そもそも同教団と最も政治的に結びついていたのは自民党だ。
萩生田光一・政調会長をはじめ多くの議員が教団と深い関係を持っていたことが判明している。岸田首相はその萩生田氏を留任させ、改造内閣にも新任の鈴木淳司・総務相、盛山正仁・文科相、伊藤信太郎・環境相、木原稔・防衛相、武見敬三・厚労相、再任の高市経済安保相を含めて教団との関係が報じられた議員6人を大臣に起用した。
自分たちの責任は頬被りしながら、解散命令請求で国民の同教団への怒りを選挙に利用しようとは、有権者を舐めているとしか思えない。
一方で選挙に不利になるマイナ問題では解決の先送りを図っている。
岸田首相はマイナ問題の総点検を「11月末をめど」に終わらせると約束した。ところが、その後も「マイナ保険証」に他人の情報がひもづけられた問題などが次々に発覚すると、担当の厚労省は、総点検でさらにデータの不一致が発見された場合、本人確認作業が来年3月までかかるというスケジュールを立てている。
11月までに問題解決とは最初からできない口約束で、「その前に解散・総選挙をやってしまえ」というのである。
マイナ問題は先送り、旧統一教会の解散命令請求は“やってます感”で選挙パフォーマンスに利用し、またぞろ巨額の予算を選挙対策で各業界にバラ撒く―岸田首相がやろうとしているのはそんな総選挙だ。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が呆れた言い方をする。
「岸田首相らしい底の浅い選挙対策です。今回の内閣改造も人事刷新にはほど遠い。スキャンダルが報じられた木原官房副長官だけは更迭したが、旧統一教会との関係が深い萩生田氏を相変わらず重用しているし、総務省文書問題を追及された高市氏、マイナ問題を解決できない河野氏を揃って留任させ、ドリル事件の小渕優子氏(選対委員長)が目玉というのだから、綱紀粛正は上辺だけ。
マイナ問題などやるべきことをやらずに、これで国民の批判をかわして選挙に勝てると考えているのであれば、竹やりで特攻するようなもの。有権者の厳しい判断が下るでしょう」
岸田“竹やり特攻解散”の結果は、“玉砕”が相場である。
※週刊ポスト2023年9月29日号