──「何かあったら、子どもに助けてもらおう」という考えは、また違いますよね。
山口:世代がまったく違う人を、自分の意見で縛ってはいけないと思うんです。だから連絡をする相手だとは思わない。もちろん心配はしますし、子どもが幼少期であれば話はまた別モノですけどね。
私たちの多くが家族に反感を持つことはあると思います。でも結局は「あいつのことなんて、どうでもいいや!」と思って、あきらめきることってなかなかできない。いつもどこかで、彼らのことを考えてしまう。きょうだいの仲が悪い、いがみ合っているということすら、その証しかもしれない。誰かが永続的に自分に興味を持ち続けてくれるのは、家族ですけど、両親は順番に亡くなっていく。残るのはきょうだいですから、どんなに離れても、いがみあっても関係性の基礎になるんです。(第3回に続く)
【プロフィール】
山口真由(やまぐち・まゆ)/信州大学特任教授、法学博士。1983年生まれ、北海道札幌市出身。東京大学卒業後、財務省に入省。その後、弁護士事務所に勤務。ハーバード大学留学、米ニューヨーク州弁護士登録、東京大学大学院修了という経歴を持つ。現在は日米の「家族法」を専門とし多様な「家族」を研究するかたわら、テレビ等でコメンテーターとしても活躍している。そんなきらびやかな経歴の裏に隠された赤裸々すぎる挫折エピソードを綴った『挫折からのキャリア論』(日経BP)が好評発売中。
◆取材・文/小林久乃、撮影/小倉雄一郎