生放送をリードする日テレとフジ
もう1つ挙げておきたいのは、「日本初の民間放送」としてのプライドと、「70周年」という大型特番を手がけやすいタイミング。
今後、民放が生き残っていく上で重要になるかもしれない生放送を積極的に仕掛けることで、「生放送に一番力を入れているのは日本テレビ」というブランディングにつなげていきたいところでしょう。特に「開局70年特別番組」の『THE MYSTERY DAY』は、連続ドラマ『あなたの番です』『真犯人フラグ』などで培った長編ミステリーの実績を生かした大型企画であり、他局との差別化を図ろうという狙いが透けて見えます。
ただ、生放送にこだわっているのは日本テレビだけではありません。フジテレビも今年、平日昼の帯番組『ぽかぽか』、週末深夜の『オールナイトフジコ』、お笑い賞レース『THE SECOND』をスタートさせ、『ENGEIグランドスラム』も4年ぶりに生放送し、『FNS27時間テレビ』の生放送も復活させました。
視聴者にとっても、臨場感やイベント感のある生放送番組は楽しいものだけに、今後も両局を中心に増えていくことを期待したいところです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。