コックが中華鍋に唾液とタバコの吸い殻を……
客による迷惑行為動画だけではなく、店舗側のモラルが疑われる動画による騒動もあった。コロナ禍の真っ最中だった2020年、陝西省の中華料理チェーン店の厨房で、コックが調理中の鍋に唾液を垂らしていると見られる動画が店内の監視カメラで撮影され、拡散した。
家族連れの男性客が店舗を訪れいくつかの料理を注文したところ、胡椒が強すぎると感じて作り直しを頼んだことが、コトの発端となった。だが、新たに作られた料理にはタバコの吸い殻が混入しており、男性客は「わざとやったのではないか」と店員を問い詰めた。
店員は「タバコ混入は不注意によるもので、決してわざとではない。信じられないというなら、監視カメラを見てください」と回答。男性客が映像を見てみると、タバコの吸い殻どころか、鍋に向かってたっぷりと唾液を垂らしていると思われる場面が写っていた。コックはさらに、鍋に向かって大きくクシャミもしていた。男性客の一家は騒然となり、トイレに駆け込み嘔吐し続けたという。
店舗責任者とコック本人は現地メディアの取材に対し、「鍋のなかには吐いていない」と説明。だが、店舗は後日当局の取り調べを受け営業停止となり、罰金10万元(約200万円)が課せられた。
日本でも今年、回転寿司チェーン店での迷惑動画が拡散するなどの騒動が相次いだ。口に入れるものに関しては、動揺が広がりやすいのは世界共通といえる。今回の中国での「青島ビール騒動」も、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。
◆取材・文/西谷格