こうした前提に立つと、今回のA記者の行為はこれまでの信頼関係を損なうものだ。現場の記者たちからも厳しい声があがっている。
「ヤクルトはA記者の行為を問題視し、『日刊スポーツ』に出禁処分を下しました。事態を重く見た『日刊スポーツ』は東京六大学野球連盟、ヤクルトに謝罪に行き、A記者に謹慎処分を科した。現在、A記者は記者職から異動させられ、別の部署で仕事をしています。A記者はスポーツ担当だけでなく、過去の五輪では社会部記者として取材したこともある。会社としても信頼の置ける記者だったはず。一体なぜこんなことをしたのか……」(日刊スポーツ関係者)
日刊スポーツに事実関係を問い合わせると、こう回答した。
「9月30日に神宮球場で行なわれたヤクルトDeNA戦において、弊社のヤクルト担当記者が東京六大学野球の取材章を不正に使い、非番の同僚3人を神宮球場に入場させてしまいました。この行為は記者の倫理観の欠如を露呈し、社会的信頼を大きく失墜させました。
あってはならないこととして非常に重く受け止めています。関係各方面に対し謝罪するとともに、当事者から聞き取りを行ない、厳正に処分しました。再発防止のため取材章の管理体制を改め、社員に対しては記者としての倫理観の徹底を指示しています。二度とこのようなことが起こらないように、管理を徹底していきます」(経営企画本部総務部)
ヤクルトにも事実確認の取材内容を送ったが、回答はなかった。「『日刊スポーツ』は謝罪後にヤクルトからの出禁は解かれた」(前出・スポーツ紙記者)というが、スポーツの魅力を伝える立場の人間としてあるまじき行為だったのは言うまでもない。