舞台の小道具である第5福竜丸の「大漁旗」が印象的だ

舞台の小道具である第5福竜丸の「大漁旗」が印象的だ

描きたいことが次から次へと……

 舞台の後、演出の坂手さんや劇団関係者らと反省会を催した。沖縄料理店で泡盛の杯を重ねながら坂手さんはこう語った。

「何とかもう少し短くしたかったんだけど、俊鶻丸のことを知ってしまったから……どうしても入れたい要素が次から次に湧いてきて収まらなくなっちゃったんですよ。私も知らなかったこと、皆さんに伝えたいことが山ほどあって。第五福竜丸は過去の話じゃないってことを知ってほしいんです」

 第五福竜丸は現在、東京・江東区の「夢の島公園」にある。ごみ処分場だった夢の島の岸で廃船となって朽ち果てようとしていることが報道され、保存運動が広まって陸上で修復が行なわれ東京都が引き取った。だから今でも実物を「都立第五福竜丸展示館」で見ることができる。

 そこには実物以外に小さな模型もある。第五福竜丸の乗組員だった故・大石又七さんが、目の見えない方のため、船の形や細かい部分を実際に手で触れて確認できるように自ら作ったという。小さな操舵室の中には小さな舵輪も再現されている。それは実際に回すことができる。舵輪がなければ船は進行方向を定めることができない。この“舵輪”も劇で重要な役割を果たす。

 映画『ゴジラ-1.0』を観た人にとっては、きっと新たな発見があるだろう。ゴジラが被曝の恐ろしさの象徴として生み出されたこと、原発事故と福竜丸事件の共通点も実感できるはずだ。東京での公演を終えると、名古屋、静岡、大阪など全国で予定されているという。一見の価値ありだ。

◆取材・文/相澤冬樹

関連記事

トピックス

NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン