2014年に起きた池袋危険暴走死亡事故をきっかけにして脱法ドラッグに代わる新しい呼称を「危険ドラッグ」が定められた。発表する古屋圭司国家公安委員長(当時、時事通信フォト)

2014年に起きた池袋危険ドラッグ暴走死亡事故をきっかけにして脱法ドラッグに代わる新しい呼称を「危険ドラッグ」が定められた。発表する古屋圭司国家公安委員長(当時、時事通信フォト)

 危険ドラッグが、法規制をかいくぐり様々に化学物質として変化していたとき、摂取して重篤な状態になった人たちの治療方法が分からなかったと言われていた。アルコールや既存の睡眠薬など対応が分かっている物質ではないため、原因を取り除いたり緩和する方法が不明なのだ。それと同じことが「大麻」と名付けられた界隈で起きつつある。大麻は天然のものだから、きっと大丈夫というふわっとしたイメージで得体の知れない物質が取り込まれた人々に、どんな影響を及ぼすか分からない。だが、少なくともそれが「良い影響」ではないだろう。

 HHCHに代わる化学物質が何なのか筆者は知る由もないが、このいたちごっこが始まった以上、製品に添加される化学物質は規制のたびに目まぐるしく、製造業者や販売業者が把握できないほどに変わり続け、ますます得体の知れないものに変化していくに違いない。類似成分を含めて包括的に規制することも検討されるというが、危険ドラッグのときを思い返すと、間に合うのか不安になる。世の中に新たな危険ドラッグを蔓延させ、社会不安を呼び込むわけにはいかない。死人が出てからでは遅い。止めるなら、今しかないのだ。

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