2020年7月、風営法に基づく警視庁の立ち入りと合同で、新型コロナウイルス感染防止対策の周知のため歌舞伎町の店舗に向かう東京都の職員ら(時事通信フォト)

2020年7月、風営法に基づく警視庁の立ち入りと合同で、新型コロナウイルス感染防止対策の周知のため歌舞伎町の店舗に向かう東京都の職員ら(時事通信フォト)

 もちろん、ホストクラブに通うすべての客がこのような極端な意見を持っているわけではないだろう。しかし「歌舞伎町」という“現場”では「売り掛け」を必要とする声が少なからず上がっていることは確かだ。

 SNSのハンドルネーム「あおりんご」さんは、40代半ば。愛する担当のためにホストクラブに“連勤”しながらも、昼間は料理人として働く。彼女は社会人としての視点を交えながら、こう話す。

「そもそも売り掛け制度はホストに限らず大衆的な飲食店でも広く用いられていますよね。私は商業科出身ですし、料理人でもありますが、そういった立場から考えても売り掛けそのものに大きな問題がある訳ではないと思っています。

 ただ、ホストクラブは飲食代としては金額が高額であるし、女性は男性に比べて価値を感じたものに体を張ってまでお金を落とし込もうという意志が強く、また実際に稼げてしまう。一連の騒動は女性の見栄と購買意欲がどんどんエスカレートしていった結果だと思うので、何らかの歯止めは必要だと思います。しかし、それは水商売での売り上げの金額を、適切で限度のある価格帯にするようにすれば良いだけのことでは?

 当事者たちの声を置き去りにして、現場を知らない人たちに国会などで、『ホストクラブの規制』や『売り掛けの撤廃』を決定されるというのは、私たちとしても『少し違うんじゃないか』と思うんですよ」

 前出の「ホス狂いあおい」さんも「制度そのものというよりは、最終的には個人の付き合い方の問題」と語る。

「ホストクラブやカケという制度が悪いというわけではなく、あくまでもお客とお店、カケとの『本人の付き合い方』が問題なのだと思います。私は売り掛けは『クレジットカード』と同じだと思います。クレカは分割払いもできるし、要は、後払いということ。カケをするときは『青伝』(※売り掛けの金額が書かれた青い伝票)と〇月〇日までに支払いをすると記した誓約書に親族の住所も書いたうえでサインをするのですが、それをするのは自分ですし、最近よく聞く『泥酔して判断力がなくなっている状態でサインさせられた』という女の子たちの言い分にしても、そこまで飲んだのは自分じゃないか、とも思う。店や制度にすべての責任を押し付けるのは私はどうかと思います」

 お金だけでなく、親族の個人情報まで自ら望んで“担当”に提供しようとする彼女たちを前にして、私は言葉を返せなかった。

 * * *

 宇都宮氏の取材からは、売り掛けが、女性客にとってホストと自分をつなぐ“絆”だという一面が垣間見える。だが、それこそがホストクラブ側の逃げ口上であり、悪魔的ビジネスを成立させるスキームなのではないか。いずれにせよ、売り掛けシステムを望む女性客が一定数いる以上、根が深い問題だといえる。

 歌舞伎町は「清濁併せ呑む街」だが、強すぎる「濁り」は許してはいけない。

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