有害成分の混入に注意が必要
こうした“危険ドラッグ”が次々と生み出されていることは、大麻由来の天然成分である「CBD(カンナビジオール)」を含む商品の人気とも関係がありそうだ。日本カンナビジオール協会の代表理事・伊藤俊彦氏が解説する。
「大麻には幻覚作用や記憶への影響、学習能力の低下などをもたらす麻薬成分を多く含む品種とは別に、産業用大麻といって麻薬成分がほぼ含まれない品種があります。『CBD』は麻に含まれる成分の一種で、一般的に健康上の害が少ないとされており、近年はコスメ業界を中心に市場が広がりつつあります」
ただし、合法成分であるはずの「CBD」の商品でも、健康被害を訴えるケースが出ていることには注意が必要だろう。11月上旬に名古屋市内で、「CBDグミ」を食べた後に吐き気の症状を訴えた女性が救急搬送されたと報じられている。
前出の佐藤氏は「合法成分であるCBDの商品を謳いながら、有害な合成化合物が含まれてしまう可能性もある」と注意を促す。
「CBDの成分のみが入っている製品で、吐き気などの症状が出ることはまずありえません。ただ、中途半端な知識で手が加えられ、危険な成分が混在している可能性があります。
パウダー状のCBD(いわゆるCBD製品の原料で原料としてポピュラーなもの)は近年、店舗やネットなどで簡単に購入できるようになりました。購入したCBD原料に化学反応を加えれば、THCHや今回問題になったHHCHなどの有害成分を含んだ原料及び製品を作り出せるので、意図せざる混入もあり得るし、悪質な業者が手を加えて販売することも不可能ではありません。業者の中には、危険だとしても純粋なCBD製品よりも手を加えた製品のほうが、若年層の間でハイになれるという評判を期待できると考える可能性はあるでしょう。
CBDには睡眠の質を向上するなど様々なメリットが期待されており、本来はとても有効な成分であり世界中で研究され大きな市場となっています。ただ、昨今の“危険ドラッグ”騒ぎで、CBDまでもが同じような評価をされてしまうことは大変残念です。
これからCBD商品を購入するのであれば、事前に製造・販売する業者をしっかり確認しなくてはなりません。会社のホームページは存在するか、製造場の住所や電話番号は記載されているか、妊婦の方は摂取してはいけないといった消費者に対する注意書きはあるか、また違法な成分が入っていないかどうかを、日本国内で成分分析をしているかなど、業者の法令順守の取り組みがしっかりしているかどうかを確認することが、非常に重要です」
問題のある製品が流通しないようにする仕組みづくりも、急務と言えるだろう。