ライフ

藤井聡太八冠「圧巻の1年」を振り返る 6つのタイトルすべて防衛し名人と王座を奪取

色紙にしたためた「八冠」の堅持のための次のタイトル戦は、2024年1月から始まる菅井竜也八段との王将戦

色紙にしたためた「八冠」の堅持のための次のタイトル戦は、2024年1月から始まる菅井竜也八段との王将戦

 相手の玉頭への「銀」打ち──。藤井聡太・八冠(21)の一手に、同い年の挑戦者・伊藤匠七段はガクッとうなだれた。少しの時間を置いて駒台の上の駒を揃え、同玉と応じると、そこからは互いにほぼ時間を使わない指し手が続き、129手目で伊藤七段が投了。藤井八冠が4連勝で棋界最高位・竜王のタイトルを防衛した瞬間だった。

 11月10、11日に行なわれた竜王戦第4局の舞台となったのは北海道・小樽の「銀鱗荘」。暖かい陽気だった対局初日は伊藤七段がペースを握ったかに見えたが、夜中に降った雪がうっすらと積もった2日目に、藤井八冠が流れを引き戻した。会場の銀鱗荘が雪化粧で前日と全く違う表情を見せたこの日が、藤井八冠の今年のタイトル戦を締めくくる1日となった。

 2023年は保持していた6つのタイトルをすべて防衛しながら、名人と王座を奪取して8大タイトルを制覇。まさに記録的な1年と言うほかない。

 八冠達成後、初の防衛を決めたこの日は、解説のプロ棋士の思考さえ追いつかない「37手詰」を読み切った。最後は駒を余らせないという芸術的な詰み筋。読みの深さはやはり圧巻だった。

 対局後の会見で、大山康晴十五世名人のタイトル戦19連勝の記録に並んだことを問われた藤井八冠は「光栄に思います」としながらも、「今後もあんまりそういった記録は意識せずに、また次のタイトル戦にも臨めればと思っています」と話した。

 北の大地で伝説として残る1年を終えてなお、一切の気負いのない言葉を残し、さらなる高みへと一歩を踏み出した。

※週刊ポスト2023年12月15日号

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト