「そもそもこのような残虐な映像は人間が見てはいけないものであり、多くの人々の心に深い傷を残す可能性があるでしょう。どのような意図があるのかは分からないが、この残虐な映像は結果的に多くのイスラエル人の“先有傾向(人々がもともと持っている特定の態度や行動の傾向)”を強める可能性があります。つまり、ハマスに対する敵対的な態度をますます強めてしまい、報復攻撃を正当化することになるかもしれません。
また、残虐な戦争の映像を繰り返し見ているうちに、意図的に加工された映像世界の状況を現実のものとして受け入れてしまうという培養効果が生じる可能性があります。つまり、『この世界は暴力にあふれているというゆがんだ世界観を持ってしまい、自分ができることは何もない……』とある種の諦めモードに入り、傍観するだけの状態になってしまうことが危惧されます」
“知る必要があるとは思うが、何が正しいかわからない”と悩む人も多いことだろう。情報の受け手はどんなことに注意すべきか。
「衝撃的な映像を伴う特定の情報を鵜呑みにするのではなく、複合的・総合的に情報を吟味すべきです。今回のイスラエルとハマスについてのニュースであれば、発信元となるメディアが双方の立場から報じているか否かを見極めながら、平和への道を考え続けるという目的意識を持ち続けることが必要です」
これ以上の命が落とされてはならない。現地に1日も早い平和を。