まだあどけなさが残るデビュー当時

まだあどけなさが残るデビュー当時(提供/ノースプロダクション)

「まさに“等身大”がテーマでしたから、俺も含め、プロデューサーの岡田晋吉さん【*1】、脚本家の鎌田敏夫さん【*2】らと、自分たちの大学時代のエピソードを持ち寄りながら一話一話作り上げていったんです。

 俺の場合、毎日下駄にジーパン、米軍放出品のジャケットという格好で大学に通っていましたから、『じゃあ衣装もそれだ』となって、実は1〜4話くらいまでは自前の服で出演しているんです(笑い)。

 お金がなくてアルバイトばかりやっていた実体験も、カースケのキャラクターに生かされています」

【*1/岡田晋吉:日本テレビのドラマプロデューサーとして『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』『俺たちの旅』ほか多数の作品を手がける】
【*2/鎌田敏夫:『われら青春!』や『俺たちの旅』(以上、日本テレビ系)をはじめ、『金曜日の妻たちへ』『男女7人夏物語』(以上、TBS系)、『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)ほか多数の作品を手がける】

 このドラマは10年後、20年後、30年後の3人を描いた特別番組が作られるほど、息が長い。そして、来年には放送スタートから50周年を迎えるが──。

「鎌田さんは数々のヒット作を手がけていながら“俺たちの旅愛”が尋常じゃなく深い。最近も『50年後のドラマもやりたい。構想もちゃんとあるんだ』と。そう言われたら、準備をしておかないとね(笑い)。

 年齢に応じて好きになる番組や歌って変わりますが、このドラマは流行のように過ぎ去るものではなく、ずっと心に留まっているような存在なんじゃないかな。それが長く愛されている理由だと、自分も演じてみて感じます。

 自分自身にとっても『俺たちの旅』は、初めて“役者”としての自意識や責任感をもって撮影に臨んだ作品。同名の主題歌も『およげ! たいやきくん』という怪物に阻まれて売り上げは2位止まりでしたが、自分なりに結果が出せたという手応えがあった。俳優、そして歌手人生の転機になった特別なドラマです」

(第2回につづく)

【プロフィール】
中村雅俊(なかむら・まさとし)/俳優、歌手。1951年、宮城県牡鹿郡女川町生まれ。1973年、慶應義塾大学在学中に文学座附属演劇研究所に研究生として入所。1974年、『われら青春!』(日本テレビ系)の主役に抜擢され俳優デビュー。同年に挿入歌『ふれあい』で歌手デビューも果たし、売り上げが100万枚を突破。現在までに連続ドラマ34本を含め主演作品は100本以上。コロナ禍を除き、毎年行ってきたコンサートは1500回以上。現在は俳優、歌手のほかナレーションも行うなど、幅広く活躍を続ける。

◇Billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2023-2024 ~WHAT’S NEXT~
2021年より始まったフルオーケストラのツアーで、3年目かつデビュー50周年イヤーの2024年は「WHAT’S NEXT」と題し、兵庫(12/21)で行われたほか、東京では中村の誕生日である2024年2月1日にすみだトリフォニーホール 大ホールにて開催(開場16:00開演17:00)。管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団、サポートミュージシャンに大塚修司を迎える。

写真・文/佐藤有栄

※女性セブン2024年1月18・25日号

トレードマークの下駄。「当時、下駄を履いた慶應ボーイはいなかったね」(中村)

トレードマークの下駄。「当時、下駄を履いた慶應ボーイはいなかったね」(中村)(提供/ノースプロダクション)

77年NHK大河ドラマ『花神』の共演者と。中村は高杉晋作役で出演した(撮影は’76年)

1977年NHK大河ドラマ『花神』の共演者と。中村は高杉晋作役で出演した(撮影は1976年)(写真/女性セブン)

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