エイト:安倍さんは過ちを犯さなかったとすることが自分たちの保身のために最も大事なことなので、自民党の議員は統一教会問題に正面から向き合わず、右派論客も、“実は統一教会はそんなに悪い団体ではなかった”と無理筋な主張で安倍さんの言動を正当化しています。どんどんおかしな方向に向かっています。
相澤:ただし、安倍さんに続く突出したリーダーが自民党内に見当たらないのも事実です。岸田さんはいかにも担ぎやすかったけど、神輿としてはあまりにも空虚です。
エイト:安倍さんが亡くなって1年半経っても派閥の後継者が決まらない間隙を縫って、検察の怒涛の捜査が始まったわけですね。
相澤:この際、これまで見過ごされた問題についても振り返ってほしい。安倍政権下でうやむやにされた森友学園問題は告発された財務省幹部ら38人が全員不起訴になった。信じられない事態で、再捜査に期待します。
エイト:今回の捜査は、かつて安倍政権が検事総長人事に横やりを入れたことへの意趣返しとも言われますが、検察は本来やるべき仕事をやっているだけです。三権分立が機能するのは好ましいことですが、長期政権を監視するのはメディアの役割でもあるので、僕も相澤さんを見習って、統一教会問題をさらに追及していきたいですね。
【プロフィール】
鈴木エイト(すずき・えいと)/滋賀県生まれ。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。カルト宗教問題を扱う日本脱カルト協会に所属し、長きにわたり旧統一教会問題を取材。著書に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』など。
相澤冬樹(あいざわ・ふゆき)/1962年、宮崎県生まれ。1987年NHK入局。2018年に森友事件の取材の最中に記者職を解かれ退局。財務省の決裁文書改ざん問題で自殺した近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんの手記を遺族から託されスクープした。主な著書に『メディアの闇──「安倍官邸 VS. NHK」森友取材全真相──』など。
※週刊ポスト2024年1月26日号