騒動のさなかも、チーム内外から16人の若手が志願し、和田の自主トレに参加。昨季、ホークスから阪神に移籍し12勝をあげた大竹耕太郎(28)や、西武の左腕・隅田知一郎(24)の姿もあった。あるホークスOBが語る。
「西武が和田を欲しがったのも、2021年のドラ1である隅田や、昨年のドラ1・武内夏暉(22)といった若い左腕への指導を期待してのことでしょう。ただ、ホークスもドラ1で大阪桐蔭から前田悠伍(18)という有望な左腕が入団したわけだから、和田のプロテクト漏れは首を傾げざるを得ない。前田は『和田さんとキャッチボールしたい』『話を聞きたい』と口にしているそうです。ドジャースの山本由伸(25)も、『どうすれば先発として長く現役を続けられるか』と聞きにいったほどの選手ですからね」
昨年5月にはNPB通算2000イニングを達成、日米で163勝を積み上げた。杉本氏が言う。
「和田の投球フォームは肘が低い位置から出るため、打者はリリースポイントが見づらく、豪速球でなくとも空振りがとれるのが強み。一方、肘に負担がかかり、入団当初から故障が懸念されていました。それでもフォームを大きく変えず、トレーニングを工夫して長く現役を続けてきた。故障した時も根気よくリハビリに励んでいました」
「まだまだやるよ」
1980年度生まれの和田は、プロ野球界に94人在籍した「松坂世代」の最後の1人でもある。
同学年でドラフトも同期の大西宏明氏(元近鉄ほか)は、現役最終年をソフトバンクの育成選手として過ごした。2011年に31歳で引退後、大阪で始めた焼肉店には、今も和田が訪れるという。
「遠征で年に1~2回は店に顔を出してくれますが、年々進化している。会うたびに身体が大きくなっていて、衰えるどころか、まだ成長している。彼はもともと遅咲きで、高校というより大学で頭角を現わしてプロで活躍した。意識を高く持ってきたから長く現役でいられるのだと思います」