満足できる手術を受けるためには、チームプレーも必要だと話すのは、なか整形外科京都北野本院院長の田巻達也医師だ。
「人工股関節の手術は患者さんの個別性が大きいので、個々に合わせたオーダーメード治療をしていくことが重要です。そのためにも、看護師やリハビリのセラピストと情報を共有することを、私はいちばん大切にしています。外科手術のスキルがいくらあっても、多職種の連携がなければ、目的達成は難しいのです。
その点、当院は入院ベッド数が19床未満のかなり小規模な医療機関です。人工股関節の手術をする医療機関としては全国的に見ても小さな部類ですが、組織は小さいほどに目的の共有がしやすいといえます」
また、人工関節を入れれば、それだけで元のように生活できるようになるわけではない。衰えた筋力を回復させるための術後のリハビリも重要だ。多職種が連携し、個々の患者の情報を共有していれば術後の回復の早さも大きく変わると田巻医師は続ける。
「股関節の手術は1〜2か月入院が必要になる医療機関も少なくありません。手術を受ける患者さんには、就業されているかたや子育てをされているかたもとても多く、できるだけ早く制限のない生活に戻せるようにすることが手術の重要な目的と考えています。
それぞれの職種間で連携が取れ、チーム医療が確立していれば、個々の患者さんに合った術後のリハビリが可能となり、入院期間が半分どころか、術後数日で退院できるまでに減らせますし、日帰り手術も視野に入れています。
ですから、手術を受ける医療機関を選ぶ場合には手術数の多さだけでなく、多職種が連携できているか、入院期間が長すぎないかといった点もチェックするといいと思います」
人工関節は入れれば終わりではなく、まれに不具合が生じ、再置換が必要となるケースもある。したがって手術後も生涯にわたって定期的にチェックしてくれる医師かどうかも大切だ。自分の足で最後まで歩くための名医と病院は、自分の足で探しに行こう。
(了。前編を読む)
※女性セブン2024年2月29日・3月7日号