警視庁による特殊詐欺被害防止イベントのひとつ。電話での対策など、その手口は広く知られるようになってきた(イメージ、時事通信フォト)

警視庁による特殊詐欺被害防止イベントのひとつ。電話での対策など、その手口は広く知られるようになってきた(イメージ、時事通信フォト)

 既婚、未婚にかかわらず被害者からは、詐欺被害の相談とともに孤独に悩んでいると打ち明けられることが多い。前出のロマンス詐欺被害に遭った40代女性は、「この人を逃したらもう次はないかもしれないと思った」と、振り込んだ理由を語る。関係性が壊れてしまうことを恐れ、相手の言うなりにお金を振り込んでしまったのだ。

 多くの被害者は家族などに促されて警察へ出向くが、被害届を出した後でも相手と連絡を取ろうとしたり、騙されたとなかなか認められないケースもあるという。それだけ相手の心の隙間に入り込み、大切な存在になり、信用させてから騙しているということだ。たとえ直接、会ったことがない人であっても、SNSでDMを送り合うのは特別に気をゆるしている証拠だと思いこむのは危険だ。時代に逆行するように感じるかもしれないが、やはり、人生を左右するような大きな判断を、一度も会ったことがない人からSNSでかけられた言葉だけで決めてしまうのは危険だ。古い考え方と思うかもしれないが、SNSが現実の生活に組み込まれた世界で生きている若者たちほど、リアル(現実)での判断を尊重している。

 若者世代は生まれた頃からSNSがあったSNSネイティブ世代であり、知らない人との交流やトラブルなどは一通り経験してきている。少なからず既に騙された経験もあり、人の見極め方やネットでの危険についても学んでいる。彼らに、SNS経由で知り合った人とどのように交流しているかと聞くと、

「プロフィールや過去の投稿を確認して、他のSNSも教えてもらう。フォロワーがどんな人たちか、交流とかも見る」
「会う前には本名や学校名とかの個人情報は教えず、信頼できるとわかってから伝えるようにしている。会ったときにも写真は撮らせません」

 など、ネットで知り合った人を見極めたり、自分の身を守った状態を保つように工夫していることがわかる。

 それに比べて中高年世代はSNSでの交流にあまり慣れておらず、知らない相手とのやり取りや見極め方、トラブルの経験に乏しいことも影響しているのではないか。

リテラシーを高めることが大切

 被害拡大の背景には、SNSが広く普及したこと、物価高や安い日本などが報じられ投資への関心の高まっていること、ネットで容易に投資できるようになったことなども影響している。コロナ禍で減った出会いをSNSやマッチングアプリに求める人が増えたことも、拍車をかけているだろう。

 もうひとつ、気をつけなければならないことがある。詐欺の被害に遭った人たちを狙う、別の悪質な人たちの存在だ。

 ネット上には、「ロマンス詐欺の被害金を取り戻す相談窓口」をうたう弁護士を名乗るアカウントや投稿が多数、存在している。しかしこれは、失ったお金を少しでも取り戻したいという気持ちにつけこむ、被害者からさらにお金を搾り取る詐欺であることも多い。実際、回復業務の着手金としてお金を集めながら、実際に返金できたのは被害金の0.01%未満~数%だったとして、弁護士等が弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕されるなどの二次被害も起きている。

 もともと詐欺の被害は取り戻しづらい。そのなかでもロマンス詐欺の被害金は、いっそう難しいと言われる。加害者と対面することなく、メッセージのみでやり取りされ、振込口座も不法に入手されたものが使われることが多い。それ故、犯人にたどり着きづらく、捜査や被害金を取り戻すことが難しいのだ。

 述べてきたように、ロマンス詐欺もSNS型投資詐欺もパターンや手口はほぼ共通している。SNSやマッチングアプリで結婚にいたる人もおり、利用したり、異性と出会うこと自体は問題ないが、相手の信頼性は見極める必要がある。少なくとも、会ってもないのに結婚やお金の話が出たら要注意だ。

 お金を取られる前に、周囲の信頼できる家族や友人、知人などに相談して冷静な判断を仰いだり、早めに消費者ホットライン(#188)などに相談してほしい。同時に、メディアなどで詐欺に関する情報を得てリテラシーを高めておくことも大切だろう。

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