その一方、HDLコレステロールは体が細胞を作る際、LDLを回収してしまうため、悪玉のような迷惑な存在だったのである。それが飽食の時代を迎え、立場が逆転してしまったというわけだ。
「血中HDLコレステロールは運動によって増える効果が確認されています。脂肪を燃やす有酸素運動だけでなく、筋トレや早歩きでも効果があります。しかも皮下脂肪にはコレステロールが含まれておらず、脂肪を落としてもコレステロール値は下がりません。結局、コレステロールはエネルギー源ではないので、ダイエットしても下がらない場合が多いのです」(古田院長)
なにより大事なことは悪玉・善玉といった呼び方を気にするよりも酸化したLDLコレステロールが体に悪影響を及ぼす点だ。これまでの定説を妄信することなく、正しい知識を基本に置き、禁煙や野菜摂取などの抗酸化生活を送り、明日の健康を保ちたい。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年4月12・19日号