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環境団体が言う「地球に優しい」という言葉は欺瞞的で幼児的

 国連環境計画はCOP10において、「環境保全にかける金額を現在の10倍にあたる年450億ドルに増やせば、将来的に年5兆ドルの経済効果が生まれる」との推計を発表した。生物多様性を保護しなければ経済的に損をし、保護すれば得をすると訴える。

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の著者である武田邦彦・中部大学教授はこう指摘する。

「予算が10倍になれば、利権も10倍です。環境保全は金になると気づいた人たちがこの利権に群がっている。たとえば、日本でなら外来種の駆除に予算がつく。新聞で『自治体が1000万円かけて、外来種を90%駆除した』などと報じられたりしますが、10%残っているので3年ぐらい経つと元の数に戻ってしまう。また税金が1000万円浪費されることになる。

 COP10開催でも名古屋市は会場への道路関連整備に2億円もかける事業の計画が出たり(実現せず)、研究よりもイベントばかりが中心になっている。環境保護はお金になるのです。

 こういった生物多様性の利権に群がっているのは、次のような団体・人です。自治体の役人、支援団体、イベント企画会社、御用学者、国の環境問題研究機関、外来種排除を訴える人、新聞やテレビ、関連工事会社、そして環境省。生物資源絡みでは、ほかに薬品会社と食品会社があります。

 私はこの11の団体・人を『チーム利権11』と呼んでいるが、以前より“税金に群がる組”が勢力を伸ばしていることを懸念します。

 生物多様性が損なわれても『地球が痛む』ことはない。そもそも『地球に優しい』という言葉自体が、欺瞞的で幼児的な社会を示している。政治家は安易に『地球に優しい』というが、『そもそも地球に優しいとはどういう意味か?』と聞いて、答えられるでしょうか」

 議論の余地は大いにあるとして、少なくとも新聞・テレビの礼賛報道の裏側を注意深く凝視する必要がある。あの“囁き官僚”の同類がそれこそ多様に生息しているはずだ。

※週刊ポスト2010年11月19日号

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