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徳大寺有恒氏 ミニヴァンの車種が減少したのは「良いこと」

 日本車メーカーは「クルマ離れで全然売れない」とぼやくが、こうした自動車業界を誰よりも憂えているのが、自動車評論家で『間違いだらけのクルマ選び』著者の徳大寺有恒氏だ。半世紀にわたって自動車業界とともに歩んできた巨匠は、最近のホンダにがっかりしているのだという。そして、自身がアンチ・ミニヴァンになった理由を語る。

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 ざっくばらんにいってしまうけど、ホンダってメーカーはもう、儲かるならクルマでなくてもいいんじゃないのかな。ドライバーより、株主様の顔色ばかり気にしている。株主様が喜んで下さるなら、ロボットでも飛行機でもやりますって感じだよ。

 オデッセイやエスティマが登場した1990年代前半、僕は国産ミニヴァンの登場を拍手で迎えたんだ。ワンボックスやクーペにセダンだけでなく、もうひとつの選択肢が増える分、日本のモータリゼーションは発展するし、ユーザーのモーターライフも豊かになるはずだったから。

 でも――僕はすぐアンチ・ミニヴァン主義者に変じた。何しろ瞬く間に市場を席巻してしまい、世の中がミニヴァン一色になってしまったからだ。

 しかも、共用シャシーの上に弁当箱みたいな図体を載せたイージーな発想のクルマばかり。こいつらにはスペースユーティリティしか利点がない。そのくせ多人数で乗ると一人当たりの空間が相当狭い。5ナンバー車に7人乗り、8人乗りなんて満員電車そのものじゃないか。運転する愉しみってのが、まったく見当たらない。ユーザーも、どうしてこんなクルマを選んでしまったんだろうね。

 ミニヴァン最盛期に比べ、3割近い車種が消えたのは当然のこと。それは逆に日本車のためにはよかったんじゃないかと僕は思っているんだ。

※週刊ポスト2011年7月15日号

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