国内

京都送り火 セシウム薪問題に「最初から断わった方がマシ」

「ニュースから学ぶ大人力」、今回はコラムニストの石原壮一郎氏が「京都五山送り火騒動」を教材に、「大人の頼まれ方の美学」を考えます。

* * *

いくら火を燃やす話だからといって、あまりにもユラユラ揺れまくっている「京都五山送り火」の騒動。結局、陸前高田市から送られた薪からセシウムが検出され、京都では燃やさないことになりました。

どのぐらい検出されたのか、それは本当に危険な量なのか、じゃあ京都の薪もちゃんと測定したのかなど、そのあたりは判然としません。

しかしまあ、なんとも後味の悪い結末となりました。最初に燃やさないことを決めたときもかなり呆れましたが、その後、抗議に押されて燃やすことにした段階でも、嫌そうな口調で「ほな、燃やさしてもらいますわ」と言われているような気がしたものです。

そんな流れのあとで「薪からセシウムが検出された」と聞いても、「ホントかなあ」と疑いの目を向けずにいられません。いや、本当なんでしょうけど、送り火の関係者の人たちがホッとしている様子を勝手に想像してしまいます。

「そら見たことか」ぐらいのことを言ってドヤ顔をしているジイサンとか、きっといるに違いありません。

……すいません。勢い余って悪いイメージをふくらませてしまいました。大人としては、五山の問題を他山の石にさせてもらいたいところ。この出来事からは、大人の頼まれ方とはどうあるべきかを学ばせてもらいましょう。

たとえば、友達から「今度、出張でそっちに行くから家に泊めてくれ」と言われたとします。おそらく妻はいい顔しないでしょうけど、友達にはカッコつけて「いいよ、いいよ」と答えてしまいました。しかし、予想通り妻のOKをもらえなくて「ごめん、やっぱり無理」と断わることに。その時点で、あなたの印象も妻の印象も最悪です。

その後、どうにか妻を説得して「やっぱりいいよ」とOKしても、もはや気持ちよく泊まりになんて来れません。しかも今回の出来事は、そんなことがあった上に「お前、ちょっと前に東北に出張に行ってたよな。やっぱり来ないで」と言っているようなものです。

あとで断わる羽目になる可能性があるなら、最初から断わったほうがずっとマシ。そして、いったん「いいよ」と答えたら、意地でもその約束を守りましょう。コロコロと結論を変えてしまったら、あとからどう言いつくろっても、どんなやむを得ない理由ができたとしても、心からの納得はしてもらえないし、どんなに悪く思われても仕方ありません。頼まれ方の美学を貫くのは、相手に対するマナーであり自分を守る術でもあります。

京都の関係者の人たちも、かくなる上は、腹をくくって開き直るしかありません。大文字焼が行なわれるときに、みんなで「大の字」になって地面に寝転び、「煮るなり焼くなり好きにしてくんなはれ!」と叫んでみてはどうでしょう。マイナスのイメージを払拭するには、そのぐらいの大胆な行動が必要かも。よかったらお試しください。


トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン