国際情報

国際的に活躍する人材輩出するのは中国の大学と大前研一氏

東京大学が来年度から、主に外国人留学生を対象とした「10月入学コース」を教養学部に新設する。東大は日本人学生の入学時期についても、海外留学を促して国際化を加速するため、秋に移行することを検討しているという。この件について、大前研一氏はこう指摘する。

* * *
頭が固い東大がようやく重い腰を上げただけの話であり、単に秋入学に移行しただけではグローバル人材が育つわけがない。重要なのは、学生の「世界で活躍する」というアンビションをどう育てるのか、ということである。

しかし、そこで問題になるのが、東大をはじめとする日本の大学教授に、アンビションを持って世界で活躍できる学生を育成しようという意志と素質、そして能力があるのか、ということだ。

国際的に存在感を増している中国の清華大学、北京大学、上海交通大学といった一流大学の場合、すでに英語による授業を次々と導入しており、英語力が必須になっている。たとえば、EUと中国政府の合弁による上海のCEIBS(China Europe International Business School=中欧国際工商学院)はアジアナンバーワンのMBAスクールともいわれるが、欧米の学者を大勢招聘し、すべての授業を英語で行なっている。キャンパスも上海だけでなく、北京と深セン(センは土ヘンに川)に拡大している。

そういう環境で育った学生たちは強烈な国際感覚を持っており、英語も堪能だ。私は何人ものCEIBSの学生と会話をしたが、みんな海外留学の経験はないのに、ネイティブ並みの英語を駆使していた。

そして、成績上位の学生たちは、いずれアメリカやイギリス、オーストラリアなどの大学院に留学して外資系企業に入社するか起業する、という明確なキャリアパスを想定して猛勉強している。この情況を鑑みても、これから中国の大学が国際的に活躍する人材を輩出するのは間違いないだろう。共産党政権にとっては、むしろ重荷になってくるのではないか、とさえ思えるのである。

実際、すでにIMF(国際通貨基金)では、1人増員された副専務理事に初めて中国人の朱民・元中国人民銀行副総裁が就任した。今後中国は、資金力だけでなく人材面でもアジアではインドと並んで、さらに発言力を強めることになるだろう。

※週刊ポスト2011年9月2日号

関連キーワード

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン