国内

橋下維新で大阪の雇用悪化に繋がる懸念を大阪市大朴一氏指摘

11月27日投開票の大阪W選挙で圧倒的な勝利をおさめた大阪維新の会。大阪府知事には維新の会幹事長の松井一郎氏(47)が、大阪市長には維新の会代表の橋下徹氏(42)が就任することとなる。

苦しい選挙戦の末、勝ち取った歴史的勝利――しかし、当選はあくまでスタートにすぎない。これから選挙で掲げたマニフェストを実現していくには、越えなければいけない幾多の試練がある。

まず、最大の目玉である「大阪都構想」。大阪市と堺市の両政令指定都市に加え、周辺の市を廃止して、東京都23区のように、「大阪都20区」を設置するというものだ。

都道府県と政令指定都市は権力が拮抗しやすい。特に府と市は長年、ライバル関係といわれてきた。橋下氏は「大阪都構想」により、府と市の二重行政が解消できると主張する。

二重行政とは、まったく同じような業務を府と市が行うこと。たとえば、府立図書館と市立図書館、府立体育館と市立体育館といったように、府と市はいままで同じようなものを作ってきた。都になればこうした「二重行政」の弊害が少なくなるという。

橋下氏は2015年4月に大阪都を誕生させたいとしているが、そのために、2013年度に「府議会と市議会の承認」、2014年度に「住民投票」「国会での地方自治法などの改正」といった手順のスケジュールもマニフェストに載せているが、大阪市立大学大学院教授の朴一氏は、「現実的には難しいのでは」との見方を示す。

「まず、橋下氏が会長を務める維新の会は大阪市議会ではまだ過半数の議席を持っていないので、市議会の承認を得るのが厳しい。また、住民投票についても強い反発が予想されます。何といっても、今回の市長選で対立候補の平松氏は、総投票数の約4割を獲得しているわけで、それは橋下氏への批判票といえます。そして住民投票まで通ったとしても、国会での法改正には、今回敵に回した民主党、自民党、共産党の協力を取り付けることが必要になります」

次に「公務員改革」。維新の会は、年功序列制度を廃止し、能力重視型制度に変更していく方針を掲げている。具体的には、幹部ポストの公募制や職員総数の約3割にあたる約1万2000人のリストラなどが盛り込まれているが、朴氏は無理に実現すると問題が生じると指摘する。

「たとえば、リストラに関してですが、そんなに多くの人をクビにして、行政サービスが円滑に行えるのかという疑問が残ります。また、職員を削減するためには、新規採用も少なくなるでしょう。そうすれば、大阪市の雇用状況をさらに悪化させることにもつながります」

※女性セブン2011年12月15日号

関連キーワード

トピックス

令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン