国内

野田総理 側近が正月バラエティ番組出演打診するも断られる

ジャーナリスト・武冨薫氏の司会&レポートによる本誌伝統企画「覆面官僚座談会」。今回は週刊ポストがスクープした駐クロアチア大使のセクハラ問題から議論が始まった。

* * *
日本ほど統治しやすい国はない――。政治家も官僚も、そうたかをくくっている様子がありありと見える。

野田政権は、復興増税を名目にした所得税と住民税の引き上げに続いて、消費税率のアップ、さらに地球温暖化対策税(環境税)まで創設すると言い出した。世界にも類がない<同時多発増税>を国民に強いようとしている。物言わぬ国民はそれを受け入れるだろうと考えているのだ。

国民のガバナビリティ(被統治能力=従順さ)が高いと政治家や官僚は堕落するといわれる。この国の政治のだらしなさも、官僚の独善も、国民は従順だと思い込んでいることに原因があるのかもしれない。

田村義雄・駐クロアチア大使(64)のセクハラ事件――。

財務省の大物OBである田村氏の“国を代表しての破廉恥行為”は、野田政権下で「官僚主導」を復活させ、政治家を操って思い通りに大増税に臨もうとする財務官僚たちに「驕り」と「隙」が生じていることをはっきり物語る。

今回の座談会は、前号で事件を聞かされた官僚たちが凍り付いた場面から始めなければならない。

「薄々は知っていたんだろう」――経済産業省中堅のB氏が財務省中堅A氏にそう水を向けた。

「事実だとすれば、はっきりクビを切った方がいい」――A氏がいつになく厳しい口調でそう言い切った。

「同感だ。Aさんの口からはいいにくいだろうが、勝栄二郎・事務次官以下、財務省の後輩たちがどんなに苦労して消費税の大改革をやろうとしているか、田村さんも知らないはずがない。この年末年始は与党の議論集約、通常国会への法案提出という正念場を迎えるだけに、不祥事発覚は躓きの石になりかねない。田村さんの“本籍地”は今も財務省だから、おそらく財務、外務両省の官房長が話し合って、大使退任後は財務省が再就職の面倒を見ることで話はついているはずだが、本音で庇いたいと思っている官僚はいないだろう」

そう語ったのは総務省ベテラン官僚C氏である。

――野田内閣は大使を不問にしようとしているし、国会も大メディアも事実解明に及び腰だ。本当は「責任を問われない官僚」の特権復活を喜んでいるんでしょう。

「外務省が傷口を広げないように事態を収拾したいのはわからないではないが、省内の不祥事を隠す手法は外交では通用しない。クロアチア政府も事件を知っているなら国民の手前、黙ってはいられなくなる。これは政治の領域。最初に総理や大臣の判断で白黒つけておかないと、外交的に波紋が広がってからでは手遅れになる。国民やメディアも海外世論には敏感に動かされる。週刊ポストは霞が関の痛いところをよく知ってるな(苦笑)」(総務C)

「官邸にはそんな余裕はないでしょう。ついに世論調査で不支持率が支持率を上回ったことに深刻になっている。総理側近が、ある民放キー局に『正月のバラエティ番組に総理をサプライズ出演させてくれないか』と打診して断わられたそうだ。政策を地道に実行するといいながら、支持率回復のためにバラエティ番組に頼る発想はセコすぎる。とてもコトを荒立てて大使の処分など決断できるはずがない」(経産B)

※週刊ポスト2011年12月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン