国内

かゆみ止めの「ムヒ」が今年から「MUHI」に変わった理由を解説

「ムヒ」といえば、池田模範堂発のかゆみ止め薬だが、もともとロゴは「ムヒ」とカタカナになっていた。だが、今年の4月から「MUHI」とローマ字表記に変更(画像参照)。一体意図はどこにあったのか。同社の池田欣史専務がその意図を語る。

* * *
ムヒはすごく強いブランドです。強すぎるがゆえに、固定概念を持たれています。ムヒと聞くと、「あぁ、虫刺されね」となるのが大半です。少し前から、かゆみを科学するムヒ、虫刺されのムヒといった形で、「かゆみ」の分野においては、支障はありませんでした。一種の企業ブランドであり、池田模範堂という社名は出さず、「ムヒ」といっていた。かゆみの領域まではそれでよかったんですよ……。

でも、今(冬の指・足のひびをケアする)ヒビケアみたいなものを出したり、手荒れケアとか、そういった商品を出した時は、「ムヒから発売!」とやると、「かゆみどめ?」と言われてしまうのです。ムヒというと、いきなり「かゆみどめ?」となってしまいます。

しかし、「ムヒ」のことばをはずしてしまうと「イケダ? 知らん」となります。製品力だけになり、バックアップがゼロ。こんなことをやっていたら、新しい分野に入る場合は不利です。肌ケアの分野においては、強豪のロート、小林製薬が存在し、「メンソレータム」というだけでお客さんの気持ちが上がるようなブランドに対し、「ヒビケアです」と言って闘うのは、会社の成長性に今後支障が出そうだと判断しました。

だったら、「ムヒ」を商品名につけるか? と。ただし、これはせっかく作ったかゆみどめのブランドをぶっ壊す、ということになります。「肌全般」を「ムヒ」で表現すると、「虫刺され」のブランドが落ちてしまいます。

でも、これからは、かゆみ、虫刺され、だけでなく、肌トラブルに対しても攻めていきたいと思うわけですね。しかし、その時に「池田模範堂」では孤立無援で、「飛び地で一人闘って来い」といった状態です。だったら企業として、肌ケア薬を売るにあたっても、下支えをしたい、という気持ちになり、新しい企業ブランドの「MUHI」を作ったのです。

中身は空っぽだけど大きな器を作り、今までやろうとしたことをその器の中に入れ、企業ブランドを確立する――そんな合意を社内でし、新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)を作ることを決定したのです。

ただし、「ムヒ」から全く違うロゴになると、今までのお客さんにとっては、距離があります。いや、今までの資産を継承できないわけですね。だからこそ「ムヒ」ということばは使わざるを得ないんじゃないの? となった。そこでカタカナからローマ字にしたのですが、これなら読めば「ムヒ」とは分かります。「変わったね」ということを印象づけられれば、100%満足とはいわないものの、「いいんじゃないの?」となりました。

そういった経緯を経て、アルファベット表記でのMUHIをすべての商品に共通ロゴとして入れることになりました。メッセージは、“肌トラブル全体を事業領域にします”、ということで「肌を治すチカラ」と一セットにし、打ち出したのが今年の4月のことでした。

こうした「変化」の話が出たのは、開発陣からの声も影響しています。彼らの発想は、会社を利用し、自分の商品を外で売りたい、というところにあります。せっかく会社に入ったんだし、「オレが作った」と胸を張って言える商品を持ちたいわけです。

ただただ、「とにかく作れ」といわれたものをシコシコ作り続けるのは面白くありません。やはり、お客さんの生活をどう変えるか? というところを研究者には期待していますし、彼らにしても、「自分達が世の中を変えたい」、と言う時に、その領域が広がらないと面白くありません。「チャンスをくれ!」という内部欲求は元々強かったんです。今回のCIは、従業員のモチベーションを上げるうえでも意味があったと思っています。

関連記事

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン