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機内食 機上で舌の機能が低下することまで計算して調理する

思い浮かべる機内食のイメージはさまざま?

 年末年始、行楽に仕事に飛行機で飛び回る人も多いはず。そこでの大きな楽しみが機内食だ。JALもANAも12月から新メニューを導入する。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が機内食について考察する。

 * * * 
「機内食」についての人の評価はさまざまだ。あまり飛行機に乗らない人は「ごちそう」と捉えることもあるし、ビジネスで四六時中世界を駆け巡るような人に聞くと、「機内食はなあ……」と残念そうな顔つきになることもある。

 というのも、航空機内での調理は地上に比べて非常に限定的だ。正確に言うと「調理」は不可能と言っていい。火や刃物なしでの調理が必要で、お湯を沸かそうにも90~95℃程度までしか上がらない。衛生管理にしても地上以上の徹底が必要だ。結果、ケータリング会社などが事前に完全調理したものを積み込み、「ギャレー」と呼ばれる機内厨房で加熱してから、乗客に提供することになる。航空法などの制約が大きいぶん、地上とは異なる味わいになるのは致し方ない。しかし読書、映画、音楽くらいしか楽しみのない機上において、数少ない楽しい時間となりうる機内食をもっと楽しめないものか。

 そうしたニーズを受けて、最近、機上で「いい食事」を提供しようというトレンドがある。

 JALはこの12月1日から一部国内線の機内で、銀座の老舗としても知られる、資生堂パーラーのメニューを提供するという。1か月間限定で資生堂パーラーの朝食を、2か月限定で同店のスイーツを機内で提供するというのだ。総料理長自ら、機内食用のメニューとして開発・監修したスイーツだという。

 ANAもこの12月から欧米路線のビジネスクラスと、一部国内線のプレミアムクラスで、ミシュランの星を獲得しているマンダリンオリエンタル東京のレストラン「シグネチャー」が監修したメニューを提供する。国内線の一部でもセントレジスホテル大阪の監修メニューが提供されるという。

 ひとつ残念なのは、こうした「特別感」のある「スペシャルミール」はその多くがファースト/ビジネスクラスに限定されること。できることなら、エコノミーにも適用してもらえないものか。事前予約+追加料金が必要でも構わないので、提供を検討していただきたい。一時期、ANAが「旅をカスタマイズする」サービスとして、有料での「食事・飲み物」のアップグレードを行なっていたが、こちらも今年の2月に終了している。

 1クラス上の機内食を食べてみたいというニーズは少なくないはずだ。高度のある機内では、味を感じる舌の味蕾(みらい)の機能が約三分の二にまで低下する。機内食はそうした味わいの変化も計算された上で、特別な味付けがなされた、「そこでしか味わうことのできない味」だ。ぜひ各航空会社さんには、機内食のアップグレードサービスへの参入や再検討をお願いしたい。

「味」は食事を楽しむにあたり、確かに重要な要素である。しかしその一方で「コミュニケーションの土台となる体験」でもある。旅先から帰った時、何より喜ばれるのは「みやげ話」である。そして食べ物とは違って、こちらの賞味期限は無限である。

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