国内

石巻出身者 復興予算がシーシェパード対策費に使われて仰天

 3.11東日本大震災の被災地、宮城・石巻は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で尋ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートします。今回は、石巻市鮎川の近海捕鯨についてです。

 * * *
 復興予算でいいとばっちりを受けたのは石巻市鮎川の近海捕鯨です。国の復興予算で確かに、23億円ものお金が出ました。それは調査捕鯨の援助金、シーシェパードの対策費、そして石巻の捕鯨のためにとして、支払われたと聞いてびっくり仰天です。石巻の捕鯨にそんな予算が下りたなんて、まさに寝耳に水です。

 実際に調べると日本鯨類研究所という、調査捕鯨団体の赤字補填に18億円も使われたというではないですか。呆れてモノが言えません。石巻は全然関係ないじゃないですか。石巻の名前を、勝手に使わないでください。

 特に今年は、南氷洋向けの捕鯨母船・日新丸が改修中で、南氷洋の調査捕鯨は行わないか、あるいは遅れるかという状況なのに、捕鯨団体に巨額のお金が渡って行くのも理解不能です。

 あんまり腹が立ったので、石巻市鮎川地区に行って参りました。去年も行きましたが、港は相変わらず壊滅状態で、最近ようやく、桟橋の上にコンクリートをのせて、客船が停泊できるように、工事を開始した次第。いまだ金華山への観光船は、チャーターのみで定期船は運行してません。

 街なんてご覧の通りただの更地です。なにしろトイレも食堂も何もないんですよ。街いちばんの観光スポットのおしかホエールランドも、再開のめどが立ってません。巨大な捕鯨船、第16利丸は1957年の建造で、とっくに引退し、陸に置いてあるだけです。そばには鯨を撃つ銛が野ざらしで放置してありました。

 鮎川でやることは沢山あります。街全体をかさ上げして、それから建物を建て、失った船を造り、仕事を創設するために、市場の再開、水産加工場や商店の再開もしなきゃ。ほんと、何ひとつないんですから、ゼロから建て直しですよ。お金は幾らあっても足りません。

 捕鯨にしても西太平洋方面での、調査捕鯨が認められて、鮎川地区を中心に、ミンククジラなどを捕ってもいいことになっています。地元企業が集まって作った「鮎川捕鯨」という会社があるんですが、これは当然津波で流され、建物はあとで復旧させたものです。鯨を捕るキャッチャーボートは20kmも流されて、破壊されました。それを修理して、最近ようやく鯨が捕れるようになったのです。

 鮎川の街は、復興の進捗率でいえば5%未満でしょう。もちろん、鮎川近辺の復旧工事は徐々にですが進んでいます。今われわれがやっているのは道路の補修とか、山崩れや沈下した箇所のかさ上げなど、基礎工事です。工事の看板を見ると面白いことに、全て幾らのお金がかかっているか、1円単位まで予算が表示してあるんです。皆様の復興予算を使ってますからと。

 けど、これは始まったばかりで、今後土地のかさ上げをして、仮設住宅から本物の家を作りと、5~10年かかるんです。それなのに復興予算の多くは使い切ったとか、もっとひどいのは予算はあるが、執行されなかったって、石巻市民をバカにしてるのかい?

 被災して仮設住宅に住んでいる人に対し、綿密な再建事業計画書を書かせたあげく、書類不備で落とす場合があるんですから。なんか、イジメのような気がしてならないんですけど。

※女性セブン2012年12月20日号

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