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50代でフリーで生き残る割合 「確率の問題として低いのでは…」

「全国キャンディーズ連盟」代表。高校時代、金沢から全国にコンサート100ステージ見に行った。ファン歴39年。

『盲導犬クイールの一生』や『ジワジワ来る○○』シリーズなどのヒット本を、18年で200冊近く作り続けてきた著述家・編集者の石黒謙吾さん。このたび、『7つの動詞で自分を動かす ~言い訳しない人生の思考法』(実業之日本社)を上梓しました。

 同書はまさに石黒さんの「ザ・仕事術」を網羅した書籍です。仕事は「受動的な“名詞”ではなく、能動的な“動詞”の姿勢で取り組もう!」と提案した石黒さんに、前回は「50歳までフリーで生き残る方法」を聞きました。その中で「貰う仕事ばかりではダメ。自ら作り出そう」「発注主よりも年齢が高くなると仕事が来なくなる」といった発言がありました。その真意はどこにあるのでしょうか。

――さっきの「『貰う』ばかりだと発注する側の年齢を多い越した場合に仕事がなくなっていくものですよ」についてもう少し詳しく教えてもらえますか?

石黒:雑誌の編集者って部署を異動していくものです。今まで一緒に仕事をしていた編集者がまったく別の部署に行ってしまう。編集畑から営業や総務などに移る人もいます。そして自分の担当が異動したあとにもっと若い編集者が来ると、ついつい頼みやすいから自分より若いライターさんに発注していくようになりがち。もちろんよほどの能力があれば別ですが。そうなると、フリーのロートルは新陳代謝的に仕事が減っていきしまいにはなくなってしまうケースも目にしてきました。

 それはライターだけでなく、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイクなど、現場仕事をやる人ほど激しいものがあります。ヘアメイクの場合は、特に入れ替わりが激しい気がしますね。大御所にならないとなかなか仕事がない状態になってしまいがち。

イラストレーターはしっかりした実力、画風があれば、どメジャーな人でなくても地道に装画などでいい仕事していますね。イラストレーターってのはライターや編集者と違って「受ける」仕事ですよね。企画をライターや編集者が走らせて、デザイナーと相談して「この本の装丁にはアノ人のイラストがハマる」みたいなことで仕事が発生していく。

自ら仕事を持ち込んで「このイラストに合うムックを作りましょう!」なんてことは現実的ではない。だから、イラストレーターの中には受け続けることで有名になる人もいます。ライターにも書名原稿でそうなっていく人もいますが、イラストレーターのほうがよりその方向が明確ですかね。

――では、50歳で生き残るフリーってどのくらいいると思いますか?

石黒:うーん。一概に線引きするのは難しいですねえ……。まあ、生き残る人は、確率の問題として低いと考えた方がいいのでしょうか。すごく実力があったり、運が良かったりするわけであり、ガッツがあったりする人なのでしょうが、たとえば、20代前半で志した人の中でイメージすれば、20%くらいではないでしょうか。

僕は出版業界の仕事に関わって今は30年ほど。同じ年くらいで始めたフリーランスの人で、今でも同様の仕事をやっている人そんなものかもしれません。もちろん社員は別ですよ。でも、社員でも、ずっと編集に携わっている人は決して多いわけではない。

――そうしたら何をやっているのですか?

じゃあ何をやっているのかというとフリーランスの場合だと、お店を始めたり、田舎に戻ってタウン誌の編集をしたり、中にはテレビのコメンテーターになった人もいます。でも、見なくなった人が多い。元々「受け仕事」ばかりやっていた人は編集プロダクションを経営したりも。そしてこんなことも。

「最初は一人から始めて、社員が3人、5人と増えていって、一時は10人いました、そこから5人、3人となり、今は1人です」――と。これが必ずしも悪いとは思いませんが、「50歳で生き延びる」ということを考えれば、早めに自分から仕事を「作って」いくようにすれば、キュウキュウと言われたことをこなし給料を必死に支払い、でもさほど儲からない……なんてことなく、ストレスフリーに好きな仕事を残していけるのではないかと、僕は考えます。

【完全に好きな仕事だけでなくてもいい】

その場合は全部の仕事を100%好きでなくてもいいと思いますよ。10のうち2~3個は、「嫌いではないけど好きではない仕事」でも。だからこそ、「食」に関心の高いライターだったら、『dancyu』とか『おとなの週末』にこの企画持ち込もう、みたいなスイッチを持っていれば好きな仕事の割合が増えますよ。

 このスイッチですが、異なる種類の仕事へのスイッチも持っておいた方がいいです。たとえばイベントやネットへのアプローチでもいいですが、とにかく発言性を高めていくことを意識する。「あの人はがっついているよね」と言われないまでも、とにかく心の中では良い意味で焦った方がいいです。「がっつく」というよりは「前倒し」っていうか……。あ、「つまさき体重」かな、前のめりな感じで……。外から見たらがっついてないけど、つま先立ちでぐらっと倒れるみたいな姿勢を持ち続ければ、大外しはしないで生き延びることができるのではないでしょうか。僕は完全にそれだけだと自覚あります(笑)。

【石黒謙吾(いしぐろ・けんご)】
著述家・編集者・分類王。1961年金沢市生まれ。これまでプロデュース・編集した書籍は200冊以上。著書に『2択思考』『盲導犬クイールの一生』『ダジャレヌーヴォー』など。プロデュースした書籍には『ザ・マン盆栽』(パラダイス山元)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『ジワジワ来る○○』(片岡K)など。全国キャンディーズ連盟(全キャン連)代表。雑誌編集者時代に、雑誌における女子大生の呼称・「クン」を確立させる。

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