「ボトル缶の特徴は“密閉度が高く、香りや風味が逃げにくい”というだけでなく、リシーラブルというキャップを開け閉めできる機能を持っています。また飲み口が広いことで、より香りを楽しむことができる点でも、コーヒーにとても適したパッケージです。
ショートの缶コーヒーの場合は、短い休憩時間に飲み切るというのが多いかもしれませんが、ボトル缶の場合は容量も多いので、仕事でPCを使いながらや、くつろいでTVを観ながら、ゆっくり1口ずつ味わう……といった楽しみ方をされる方が、多いのではないでしょうか。選んでいただいた商品は、そういった“いつもそばに置いて”楽しんでもらえる商品だと思います」
ボトル缶コーヒーだけでなく、炭酸飲料などさまざまな商品パッケージを手掛けてきた菅野さん、デザインをする上で気をつけていることは、とてもシンプルなことだと語る。
「飲み物なので、まず“おいしそう”と感じられるものであること。中身がどんな物であるのか、すぐにわかってもらえるようにすること。当たり前と思われるかもしれませんが、一瞬で中身を伝えるためには、大切なことです。
今回1位に選んでいただいた『イリー イッシモ エスプレッソ ブラック』については、illyが本場イタリアで業務用No.1ブランドという背景がありますが、illyブランドを知らない方が見ても、本格的なエスプレッソであることが伝わるように……という点を丁寧に、こだわってデザインしました」
海外ブランド、しかもデザイン性の高いイタリアのillyブランドということで、決定までに出したデザイン案は50あまり、その中にはポップなものやイタリアにまつわるさまざまなものからインスパイヤされたデザインなど、多くのプランがあったという。
「最終的にはillyという、プレミアム感があり、本格的なブランドの世界観をきちんと表現しようと思いました。エスプレッソのブラックと、illyのキーカラーのひとつである赤によって、白いカップとのコントラストが引き立つといったバランス。またベースカラーであるマットだけど輝度の高い、きれいなシルバーと、艶やかだけど、こっくりとした品のある赤――この2つの色には、特にこだわりましたね」
1位に選ばれた『イリー イッシモ エスプレッソ ブラック』のパッケージデザイン担当者として、“こんな人に、飲んでもらいたい!”というイメージはあるのだろうか?
「私自身がイタリアに行って、バールで飲んだコーヒーがとてもおいしかったんです。この『イリー イッシモ エスプレッソ ブラック』は、イタリアのバールの雰囲気と本格的なおいしさをボトル缶で再現できています。
こだわりがあって、本質を見極められる――そういった自分のスタイルを持っている人が、日常にさり気なく、より上質なものを楽しむ時間に、飲んでいただけたら嬉しいですね」