国内

日本の原発性能から考えて「原爆を2000個製造可能」との試算

 北朝鮮の核実験が世界中から非難されている。だが、世界で初めて化学法によるウラン濃縮に成功し、日本原子力学会平和利用特賞を受賞した、中部大学教授の武田邦彦氏(工学博士)によれば、「日本も核爆弾を保有しているのと同じ」だという。新刊『武田教授の眠れない講義 「正しい」とは何か?』(小学館)を上梓したばかりの武田氏が解説する。

 * * *
 いまでは、原爆の作り方が公開されたも同然ですから、濃縮ウランやプルトニウムさえ手に入れれば、作るのは簡単なのです。ということは、日本でも簡単にできるということです。こんなことを言うと、「日本には軽水炉しかないじゃないか」と反論する方がいます。だから「日本では原爆は作れない」と。

 確かに日本の原発のすべてが、軽水炉です、原発は、重水炉や黒鉛炉などいろいろな方式があるのですが、これまで「軽水炉ではプルトニウムを生成しづらく、核兵器開発への転用は難しい」と言われていました。すでに核を保有しているインドも、いま問題になっているイランも、重水炉から原爆を作ろうとしています。とはいえ軽水炉だから原爆が作れないなんて、専門家は口にしません。なぜなら、そんなこと、とうの昔に技術的に克服してしまっているのですから。

 実際にシミュレーションしてみましょう。まず、原子力発電所を電力生産用ではなく、プルトニウム生産用に切り替えます。これはすぐにできます。そして燃やした燃料棒を、青森の六ヶ所村にある六ヶ所再処理工場に持っていきます。実は六ヶ所再処理工場では、プルトニウムだけ抽出できるようになっているのです。あとは、それを爆弾にすればいいのですから簡単です。

 イランが重水炉を持ったからと非難されるぐらいです。日本も世界から見たら「いつでも核武装できる」と思われているのです。日本人は、「非核三原則」を信じていますが、外国から見れば、おそらく、すでに日本は「核武装した国」なのです。

 では、日本はいったいいくつ「核爆弾」を保有しているといえるでしょうか。北朝鮮の原子炉は、日本の原子炉の規模の約30分の1です。それを2基保有し、10発程度の核爆弾を作ったとされています。日本は約50基(福島第一原発1~4号機以外)の原発を有していますから、その能力で考えていくと、だいたい2000発はゆうに持てます。

 要するに、核を持つか持たないかということは、装置で決まっているのではないのです。その国の「意志」で決まります。何を「正しい」と考えるか、そこだけの差ですね。

※武田邦彦/著『武田教授の眠れない講義 「正しい」とは何か?』より

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン