「まず“妊娠中の女性は心身共に不安定な状態”と理解することが大事」と村上さん
■マタハラで気をつけるべき言動
「マタハラは解雇などの不利益取扱いだけでなく、妊産婦や子育て中の人への言動も対象となります。つわりで大変な時に『妊娠は病気じゃないんだから、気持ちの問題だ』と配慮に欠ける発言をしたり、『妊娠という個人の事情を職場に持ち込むな』といった、非常識なことを言われた経験のある人もいます。
本人に聞こえるように『また休むの?』『子供がいると、休めていいね』といった発言も、ハラスメントになります。こういったコメントは男性だけでなく、妊娠・出産を経験していない女性などにもありがちです。逆に過剰にケアすることで、心理的負担をかけるケースもあって、保護と平等のバランスが難しいのがマタハラの特徴です」(中島さん)
マタハラという言葉自体の認知と併せて、マタハラをしないための認識や環境作りも大切だ。特に男性にとっては、妊娠中の女性の心身について想像すること自体が非常に難しい。しかしだからと言って「相手の状況がわからないんだから、悪意はないし、仕方ないだろう」というのは、ハラスメントにおいて通用しない。
「そういったマタハラが原因で、精神的に不安定になったり、がんばりすぎて流産・死産などの事態になるのを防ぐために、ムリをせず“イヤなこと”はどういうことか、まわりに上手に伝えられる環境になるのがいいですね。
セクハラが認知され、多少なり防止が進んだプロセスには『それってセクハラですよ!』と女性が言えたり、男性側も『これってセクハラで、訴えられちゃうかな!?』と笑って言えるような、日頃のコミュニケーションの中で明るく問題を認識し合う状況があります。マタハラについても同様に、妊産婦や経産婦が、普段から職場の人たちと“どうして欲しい”“どう接したらいい?”といったことを、笑顔で話し合える環境が理想的な展開ですよね」(村上さん)
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