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安倍首相の「大都市圏を国家戦略特区へ」ふざけた話と大前氏

 安倍晋三首相が提唱する経済戦略は、今のところ好意的に受け止められ、評価されているようにみえた。だが、6月になり成長戦略の第3弾が発表されると、株価が急落し円高が進んだ。評価が定まらない安倍首相の成長戦略の中身について、大前研一氏が検証する。

 * * *
 安倍晋三首相が提唱する成長戦略では、東京、大阪、名古屋などの大都市圏を「国家戦略特区」に指定して全国一律では難しい規制緩和を先行し、「ロンドンやニューヨークに匹敵する国際的なビジネス環境」(安倍晋三首相)を整えて外資系企業の誘致や公共インフラの民間開放を推進するという。

 だが、これはふざけた話である。本当に地方自治を推進して日本を変えようと思うなら、「特区」という発想が出てくるはずがない。

 自民党も日本維新の会も道州制導入に向けた準備をしているが、近い将来、道州制に移行して地方「自治体」ではなく本格的な地方「政府」にし、立法権や徴税権などの一部を与えるのであれば、今さら特区は必要ない。

 結局、道州制とは名ばかりで、中央官庁が権力を握ったまま、いわば“目こぼし”として特区を作るという発想でしかないことが露見したといえる。

※週刊ポスト2013年7月5日号

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